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蓄電池を1秒単位で遠隔制御し低コスト化も実現、エナリスとKDDIが5G実証で成果エネルギー管理

エナリスとKDDIが次世代通信の5Gを利用した分散電源の遠隔制御実証を実施。VPPシステムの低コスト化とともに、分散型電源の制御周期を従来の1分から1秒に短縮するなどの成果を得られたという。

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 エナリスとKDDIは2022年2月17日、5GとMEC(マルチエッジコンピューティング)の商用サービスである「AWS Wavelength」を活用した仮想発電所(VPP 、バーチャルパワープラント)の実証実験を実施し、日本で初めてMECを用いた分散型電源のリアルタイム制御に成功したと発表した。各分散型電源に接続する専用端末の性能をMECに持たせることにより、VPPシステムの低コスト化とともに、分散型電源の制御周期を従来の1分から1秒に短縮できたという。

 天候などによって出力が変動する再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力の需給調整を行う技術の開発が進んでいる。電力系統の安定化を担うバランス調整役として期待されるVPPには、効率的かつ迅速に家庭用蓄電池などの分散型電源を制御し、必要とされる電力量を供出する技術が求められている。

 こうした背景からエナリスとKDDIでは、2021年10月から、低遅延の特長を持つ5GとKDDIの5Gネットワーク内に配置したAWS Wavelengthを利用した分散電源の制御実証を開始。AWS Wavelengthは、とはAmazonが提供する超低遅延、5Gネットワーク、AWS(Amazon Web Service)コンピューティングサービスおよびストレージサービスを組み合わせたインフラサービス。今回の実証では、KDDIの5Gネットワーク内にAWS(Amazon Web Service)のシステムを配置してデータ処理することで、アプリケーションの超低遅延処理を行えるようにした。


これまでのVPPのシステム構成と、今回の5Gを活用したVPP実証の比較 出典:KDDI

 この組み合わせによって、実証では、分散型電源の制御周期を従来の1分から1秒に短縮できたという。さらに、同一基地局エリア内にある分散型電源間で誤差を補い合い、制御精度を高めることにも成功した。これにより、今後普及が見込まれる家庭用蓄電池をはじめとするさまざまな分散型電源をVPPに取り込み、より大容量に、より素早く柔軟に電力の安定供給に貢献できることを確認できたという。

 また、分散型電源リソースに接続した専用端末の機能をAWS Wavelengthに移行するため、従来、分散型電源側に設置していた高性能なゲートウェイ装置が不要となり、電力ユーザー側にかかるコスト低減も可能になるとしている。

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