エルピオとウエストHDが電力小売から撤退、市場価格高騰で新電力の契約停止も相次ぐ:電力供給サービス(1/2 ページ)
電力小売事業者のエルピオとウエスト電気が電力事業から撤退を発表。また、電力卸売市場の長期にわたる価格高騰を受けて、新規契約を一時停止する新電力も急増中だ。
電力小売事業者のエルピオは2022年3月25日、電力供給プラン「エルピオでんき」の提供を全国・全メニューにおいて停止すると発表した。電力卸売市場の価格高騰などを受け、現在の料金水準を維持できなくなったためとしている。
エルピオは、千葉県に本拠を置く1965年創業のLPガス会社。電力自由化がスタートした2016年からは電力小売事業を開始し、北海道と沖縄を除く全国で電力販売を行ってきた。2021年11月時点での電力供給量(低圧)は3711万5000kWhで、推定12〜14万件の契約を抱えているとみられる。
同社では2020年12月以降、天然ガスなど発電燃料不足による電力卸売市場の価格高騰、その後2021年10月から慢性的に高値が続く電力卸売市場の中でも料金水準を維持してきた。しかし、2022年にロシア・ウクライナ情勢がもたらした天然ガス市場の高騰、そしてその影響による国内の電力市場価格の値上がりを受け、電源調達の見通しが立たないことや、安価な電気料金の水準が維持できないと判断し、撤退を決めた。なお、LPガス・都市ガスについてはこれまで通りのサービスを提供する。
エルピオでんきは、すでに2022年3月18日から新規の申し込み受付を停止しており、顧客へは他社への切り替えに必要となる「供給地点番号」「お客さま番号」を掲載した通知を、メールおよび郵送で実施しているという。エルピオでんきの供給期限は、2022年4月30日までとなっており、ユーザーはそれまでに他社への切り替えを行う必要がある。
エルピオは今後、新電力のサイサンが提供する「エネワンでんき」の代理店となる予定で、顧客に対しては同プランへの乗り換えを案内している。なお、新電力比較サイトなどを運営するエネチェンジは、エルピオでんきから新しい電力会社への切り替えサポート窓口を開設した他、切り替えのキャンペーンなどを実施している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.