環境行動と消費を支える新たな価値観「マインドフル志向」とは?(2/3 ページ)
東京ガス都市生活研究所は、このほどオンラインによる「都市生活シンポジウム」を開催し、生活者(一般消費者)の価値観と消費行動に関する最新の調査結果を発表した。新たな価値観として提示された概念は「マインドフル志向」だ。
環境行動を実践している人の特徴とは?
松葉佐氏はまず、もっとも環境行動を行っている高実践層に着目し、「生活者に環境行動を実践させ、環境商材やサービスを選択してもらう」ためのヒントを探る。
消費意識については、「家族や友人を喜ばせるためにお金を使いたい(76.2%)」「自分のスキルを高めるモノ・コトにお金をかけたい(72.7%)」という回答が高実践層ほど高かった。環境行動のきっかけ・目的については、「自分や家族の健康(45.9%)」「自分の暮らしを快適にする(42.4%)」「次の世代のため(44.7%)」という人の割合が高かった。とくに「次の世代のため」は他の3層を大きく上回り、自分とは直接関係の薄い大きな目的のためにも行動する人が多いということが分かったという。
生活満足度については、「自分の好きなことがやれていると思う」「生活がすごく楽しいと感じる」と回答した人が多く、環境行動の実践度が高いほど生活全般への満足度も高かった。また、環境に配慮した行動や商品・サービスの選択をしたときに「気分が良い(72.9%)」と回答した人の割合も高かった。
以上のことから松葉佐氏は、高実践層は「自分の好きなことや、家族の健康や快適な暮らしのために行動し、毎日の生活を楽しんでいる」、同時に「環境や社会に良い行動を実践し、気分が良いと感じている」と総括する。高実践層にとって環境行動は自分の好きなことの延長線上にあり、彼らは自分や周囲が笑顔になれること=Smile(スマイル)を大切にしているのだと結論づける。実践度が高いほど、環境・社会に良い行動と、自分や周囲の幸せが両立し、無理なく環境行動を続けることができているというわけだ。
環境商材・サービスの訴求ポイントとは?
Smileを実感できるポイントは、環境行動の実践度ごとに異なる。それぞれの層の人たちが何にSmileを感じるのかについて、松葉佐氏は次のキーワード群を挙げる。
- 高実践層:「環境のため」「次の世代のため」「やりがい」「見える化(数値など)」
- ミドル実践層:「暮らしの快適化」「高機能」「家族・友人のた」「ときめき」
- ライト実践層:「ポイント」「省エネなどのお得感」「時短」「省手間」「みんなと一緒」
- 非実践層:「おしゃれ」「カッコいい」「安い」「節約」
では、各層の人たちは、どんな行動を志向しているのか。ポイントは、以下の通り。
- 高実践層:「環境に配慮した暮らしを送りたい」
- ミドル実践層:「モノを大切にする暮らしを日常に取り入れたい」
- ライト実践層:「無駄を省くこと、経済性などのメリットを実感したい」
- 非実践層:「エコを意識せずにできること、自分の“好き”を大切にしたい」
具体的に、今後取り入れたいと考えている環境行動についても、それぞれ上位5項目が紹介された。
高実践層
- 認証マークなどが付いた水産物(62.5%)
- アップサイクル食品
- 再生可能エネルギーの契約
- 太陽光やエネファームなどの自家発電設備の導入
- 環境活動への寄付
ミドル実践層
- リサイクルシステムのある商品(77.4%)
- 脱プラスチック商品
- 環境に配慮した洗剤
- エコに関する認証マークのついている商品
- 売上の一部が環境保護につながる商品
ライト実践層
- 省エネ性能の高い家電や機器(82.1%)
- 過剰梱包を断る
- 長く使えるものを選ぶ
- 気に入ったものだけを購入
- 旬の食材を選ぶ
非実践層
- 気に入ったものだけを購入(90.0%)
- 長く使えるものを選ぶ
- お気に入りものはメンテナンスや修理をして長く使う
- 食べきれる量だけ買う
- 省エネ性能の高い家電や機器
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.