金融視点で考えるソーラーシェアリングの現状と課題、「融資と保険」の最新動向:ソーラーシェアリング入門(54)(2/2 ページ)
「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」について解説する本連載。今回は前回に引き続き、農林水産省で開催されている有識者会議の内容について解説します。テーマはソーラーシェアリングにおける「融資と保険」です。
営農型太陽光発電に対する保険の状況
営農型太陽光発電の保険については、設備に関しては事業用太陽光発電に対する保険がほぼ同様の条件で適用できている状況にあることが整理されました。つまり、営農型太陽光発電特有の事情で引き受けが出来ない、という状況にはないことが明らかになりました。課題としては、営農型太陽光発電に特有のリスクをどのように軽減していくか、そのあたりをどう保険でカバーしていくかといった内容が提起されます。
営農型太陽光発電に特有のリスクとして、設備側からは発電設備による農作物の減収や作業性の低下、また台風などの際に設備が倒壊した場合は農地に大きな被害が及ぶ可能性があることなども考えられます。農業側からは、トラクターなどが設備に衝突し損壊させてしまうこと、農業者の怪我・病気や死亡による営農の中断などがリスク要因として考えられます。
こうしたリスクを低減していくために、発電事業側と農業側で設備の設計や運用に関する共通認識を醸成するための規格・ガイドラインの必要性が挙げられました。また、それらを策定していくために、営農型太陽光発電の設備でどのようなトラブル・事故が発生しているかについて把握することが求められます。
今後整えていくべきものは?
今回の融資や保険に関する課題整理の中では、どのようにして営農型太陽光発電における発電事業と農業の事業安定性や継続可能性を客観的に評価していくかということが重要なポイントであったと感じます。
既に昨年秋にはNEDOから営農型太陽光発電の設計・施工ガイドラインが公表され、農業生産への配慮や事故防止に対する考え方も一部盛り込まれました。その際にも国内における営農型太陽光発電の事例調査結果が踏まえられていますが、今後各地で新設の発電所がこれまで以上に増えていき、事例もプレイヤーも多様化していく中では、既存事例の幅広い調査を行った上で共通の規格・ガイドラインを整えていくことが何より必要だと言えるでしょう。
次回は、第2回の有識者会議の後半で議論された、今後予想される営農型太陽光発電の動きと検討すべき課題について取り上げます。
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