“台風発電”のチャレナジー、アストモスエネルギーと資本業務提携で風車拡販へ:自然エネエルギー
台風でも発電可能な風力発電システムの開発を手掛けるチャレナジーが、LPG事業大手のアストモスエネルギーと資本業務提携を結んだ。戦略パートナーとして、チャレナジーの開発する風力発電システムの販売促進や、海上輸送におけるCO2排出量の削減への活用などに取り組むという。
風力発電システム開発を手掛けるチャレナジー(墨田区)は2022年5月10日、LPG事業のアストモスエネルギー(千代田区)と資本業務提携契約を結んだと発表した。戦略パートナーとして、チャレナジーの開発する風力発電システムの販売促進や、海上輸送におけるCO2排出量の削減への活用などに取り組むという。
チャレナジーは、2014年創業の「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するテクノロジースタートアップ。一般的に普及している水平軸プロペラ式の風力発電機と異なる機構を持つ垂直軸型マグナス式風力発電機は、円筒を気流中で回転させた時に発生する「マグナス力」を利用し風車を回転させる仕組み。
この方式により、従来のプロペラ風車の多くが最大風速25m/秒で発電停止するのに対し、マグナス風車は最大風速(10分平均)40m/秒、3秒平均での最大風速は70m/秒(3秒平均)まで耐えることができ、台風などの強風時にも発電可能だという。
また、垂直軸型により風向に依存せず発電できるので、プロペラ風車のように風向きに合わせる必要がなく、激しく風向が変化しても一定の稼働率を維持できるため、設備利用率を高められるとしている。
チャレナジーが資本業務提携を結んだアストモスエネルギーは、年間約600万トンLPG取扱量(国内輸入、国際トレーディングの合計)を持ち、これはLPG専業会社としては世界最大級の事業規模を展開している。
今回の提携により両社は、海上輸送のCO2削減を目的としたマグナス風車の活用、マグナス風車の国内における販売促進、海外パートナーと連携した同風車の島しょ部への展開などに取り組む方針だ。
関連記事
- 台風発電は実現するか、チャレナジーが風車を2020年に量産へ
次世代風力発電機「垂直軸型マグナス式風力発電機」を開発するベンチャー企業のチャレナジーは、事業成果報告・記者発表会を開催し、創業からの成果と今後の事業計画を発表した。2018年8月から新たに開始する10kW試験機の実証結果を踏まえ、2020年以降に量産販売を開始する狙いだ。 - 強風でも発電できる「台風発電」実現へ、マグナス力を利用した垂直軸型
ベンチャー企業のチャレナジーが取り組む「台風発電」のクラウドファンディングが順調だ。既に目標金額としていた200万円を突破し、2016年夏に実施する屋外実証用の費用を獲得できる見込みだ。 - 台風に負けない風力発電に挑戦、バイオマスで島のCO2を減らす
猛烈な台風が襲う沖縄県では発電設備にも対策が必要だ。強風に耐えられる世界初の風力発電機の実証実験が沖縄本島の南部で始まり、風速30メートル/秒の台風が接近した時でも発電を続けた。島内で生まれる廃食用油や下水汚泥を活用したバイオマス発電によるCO2削減の取り組みも広がる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.