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太陽光100%でEVをシェアリング、可搬型バッテリーも活用する中国電力の新実証:太陽光(2/2 ページ)
中国電力が2022年4月から「完全自立型EVシェアリングステーション」の実証事業を開始。太陽光パネル搭載のカーポートを活用し、再生可能エネルギーのみでシェアリングEVを運用するという新たな取り組みだ。実証の背景や詳しい概要を取材した。
実証には複数のプレイヤーが協力、将来的な商品化も検討
この実証事業は、2022年4月から5年間程度が予定されている。比較的長期間の運用により、ソーラーカーポートの蓄電・制御システムおよび複数の法人と周辺住民によるEVシェアリングサービスの運用などを検証する。また、電力系統から完全に切り離され独立して設置されるソーカーカーポートの商品化に向けた検討も行われるという。
今回の実証では、中国電力の他に広島県、パナソニック、AZAPA(アザパ)が役割を分担し、協力して事業を進行する。各関係者の役割は以下の通りだ。
中国電力
- 実証事業の企画・運用
- EVシェアリングステーションの構築
- EVシェアリングサービス「eeV(イーブイ)」の提供
広島県
- 実施場所の提供
- 実証事業への参画(EVシェアリングの法人利用)
- EV普及促進に向けた政策展開
パナソニック
- ソーラーカーポートの開発・提供
- 実証事業への協力
AZAPA
- オフグリッド型蓄電・制御システムの開発・提供
- 可搬型蓄電池システムの開発・提供
- エネルギーとモビリティの融合による社会実装の検討・展開
今回の実証事業に参加する4者のうち、パナソニックとAZAPAは太陽光発電とEVを組み合わせた他の事業でも協業の実績がある。このため、今回の事業にも、かつての実績で蓄積された技術が生かされているという。
災害時の移動電源としても利用可能な EV のポテンシャルにも注目
実証の発表会見に臨んだ広島県の湯崎英彦知事は、広島県が取り組む「ネット・ゼロカーボン宣言」に触れ、「温暖化対策に官民一体となって取り組んで、成長発展のチャンスにつながるよう果敢にチャレンジしていく必要がある」と語った。また、系統電力から独立した充電設備を使う今回の実証事業が、中山間地域や離島などを含め、場所を選ばず EV が利用できる環境の創出につながることに言及。さらに、大きなバッテリーを搭載して走行する EV 車両の運用が災害時の電源確保にも貢献することに期待を寄せた。
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