電力供給の信頼度評価は基準を見直しへ、太陽光の導入拡大や需給実態を考慮:エネルギー管理(4/4 ページ)
電力需給の安定供給に対する懸念が高まっている昨今。政府では電力の安定供給に関する信頼度評価の算定方法を見直す方針だ。本稿では現状の評価手法の概要と、今後の見直しの方向性を整理する。
3.計画外停止率算定方法の見直し
現在のEUE算定においては、計画外停止率は至近3ヵ年平均の実績から算定し、3年周期で見直しをすることとしており、電力需給検証で考慮する計画外停止率は、主要な電源である火力発電の計画外停止率2.6%(2017年度調査結果)が一律に採用されている。
しかしながら今般の需給逼迫の要因の一つが、想定を上回る電源の計画外停止の多さであったため、計画外停止率および算定の考え方が実態と乖離していないか確認する必要があるとしている。
なお電源の機械的トラブル等は一定の確率論として把握可能であるのに対して、大地震の発生やそれによる計画外停止をどの程度織り込むべきかは明確ではなく、大規模電源脱落リスクの算定方法についても、整理が必要となる。
また昨今の需給逼迫は供給力(kW)不足だけでなく、燃料不足によるkWh不足からも生じているが、現在のEUE算定においては、燃料調達リスクが考慮されていないため、この取り扱いについても今後検討される予定である。
4.地域間連系線 計画外停止等の考慮
福島県沖地震(2022年3月16日)により、東北→東京の地域間連系線の運用容量が大きく低下したことが、東京エリアの需給逼迫を一層悪化させる一因となった。
つまり一般的に、連系線の運用容量の増減は、供給信頼度評価に大きく影響を与えると認識されている。
ところが、供給信頼度にはアデカシーとセキュリティがあることを先述したが、送電線の故障による計画外停止等はセキュリティとして扱われるため、アデカシー評価としては考慮されておらず、地域間連系線は常に健全な状態であることを前提として、供給信頼度が評価されている(計画停止は考慮)。
近年、供給力のエリア偏在が進みつつあるため、連系線の計画外停止や運用容量の減少は、ただちに供給信頼度低下の一因となり得る。
このため、今後は連系線の計画外停止・運用容量減少については、電源の計画外停止率と同様に、停止率等を算出し、運用容量から一律で減少させる等により、織り込む予定である。
上記4つの課題は、現状の供給力確保量が適正規模に対して過少である可能性を示している。このため、その見直し後には、容量市場オークション等における電源等の調達量が増加する可能性もある。
一般的にアデカシーの確保には長い時間と多大な費用を要するため、将来の変動再エネの大量導入と、それをエリア間で送電する地域間連系線の増強を見通した、供給信頼度の基準や評価方法を構築することが求められる。
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