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海洋温度差発電を実用化へ、商船三井らがモーリシャスで実証事業:自然エネルギー
商船三井らがモーリシャスで海洋温度差発電のプロジェクトを推進中だ。同社では安定的に発電できる新たな再生可能エネルギー事業として、国内外で早期の事業化を目指すとしている。
商船三井は2022年7月14日、ゼネシスおよび佐賀大学と共同で取り組むモーリシャスにおける海洋温度差発電を核とした海洋深層水複合利用に関する実証要件適合性等調査が、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業に採択されたと発表した。NEDOの2021年度「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」に採択されたもの。
海洋温度差発電は、海面における表層の温水と深海の冷水の温度差を利用する発電方式。水深600m以深の海域から海洋深層水をくみ上げ、表層水との温度差でエネルギーを取り出す仕組みだ。気象条件に左右されないため、安定的に発電量を予測できることが特徴だという。さらに発電で使用した海洋深層水は十分低温であり、水質も変化しないため、水産や農業、空調利用など、さまざまな分野で二次利用できる点もメリットとされている。
海洋温度差発電はこれまで日本国内およびハワイや韓国、ナウル共和国などでも研究が進んでいるものの、まだ商用化には至っていない。商船三井は2022年4月からゼネシスが維持管理を行う沖縄県久米島での100kW級の実証設備の運営に参画しており、これらの事業における知見やノウハウなどを生かし、国内外において海洋温度差発電の早期事業化を目指すとしている。
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