Looopが初の風力発電所を北海道に開設、将来の洋上風力参入も視野に:自然エネルギー(2/2 ページ)
新電力のLooopが、北海道北部の豊富町で30MWの陸上風力発電所の建設に着手。共同で運営する中部電力、清水建設ほか建設会社が一堂に会し、「安心・安全施工宣誓書」を取り交した。Looop代表の中村創一郎氏が、同プロジェクトの意義と再エネへの取り組みについて語った。
さまざまなPPAを検討、洋上風力への参入も視野に
ウインドファーム豊富で発電した電力は、現時点では、FIT制度を使って北海道電力ネットワークに売電する計画となっている。ただし将来的には、FIP制度への切り替えや、電力需要家である企業との相対取引も検討していく方針だ。
「現状ではFITがもっとも有利な制度となっているので使っていますが、FIP制度の活用や、相対契約で企業に供給することなど、いろいろな手法を考えています。コーポレートPPAについては、フィジカルPPAという形で直接供給するだけでなく、バーチャルPPAという形でより柔軟に供給できないかなど、さまざまな方法を模索しています。それについては、他のプロジェクトについても同様です」(中村氏)。
Looopは、日本全国で再エネ開発に取り組んでいる。風力発電については、北海道以外でも西能登(石川県)などで開発を進めている。「現在は陸上風力の方がコスト面のメリットが大きいが、将来的にはポテンシャルの高い洋上風力にも参入していきたい」(中村氏)という。また、「これからは蓄電池と太陽光発電、蓄電池と風力発電をセットで扱っていくことが必須になる」として、蓄電所の建設にも意欲を示す。また、「大型の発電所開発と併せて、小型の地産地消モデルを同時に進めていくことが重要」(中村氏)との認識のもと、家庭用PPAモデルなど、屋根上太陽光のさらなる普及にも注力する。
同社は2022年4月28日、「再エネの発電所を増やし、コントロールし、最大限に届ける電力会社となることで、日本のエネルギー自給率の向上とエネルギーコストの低減に向けて邁進する」という、再エネ電力宣言を打ち出した。そして、そのためのロードマップとして、「(1)市場の再定義とサービス再設計、(2)再エネ電源確保と技術投資、(3)再エネ供給の加速、(4)技術革新」を掲げている。ウィンドファーム豊富は、同ロードマップを現実のものとするための重要な試金石となる。
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