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課題が顕在化する太陽光発電、JPEAが考える“あるべき姿”と必要な取り組みとは?:太陽光(3/3 ページ)
ロシア・ウクライナ情勢が混迷を続けるなか、エネルギー安全保障の面でも再生可能エネルギーの導入を加速することが急務となっている。一方で、安全面、防災面、景観や環境への影響、将来の廃棄問題など、太陽光発電に対する地域の懸念は高まっている。交錯する期待と不安を踏まえ、太陽光発電協会(JPEA)が、“太陽光の本来あるべき姿”とそれを実現するための取り組みをまとめた。
使用済み太陽電池の適正処理・リサイクルに向けた取り組み
太陽電池の廃棄段階におけるJPEAの基本的なスタンスと取り組みは以下の通り。
基本的なスタンス
- 「適正処理・リサイクルの対応」は極めて重要と認識し、国の制度作りへの意見具申やガイドライン作成の他、将来の大量廃棄に向けた調査研究を行っている。
- 既存の廃棄物処理法等を踏まえつつ、製造者/発電事業者/排出者/中間処理事業者/リユース事業者/行政など全てのステークホルダーが関与したサスティナブルな適正処理・リサイクルが可能となる仕組みが望ましいと考え検討を進めている。
- 発電コスト低減やFIT買取期間後の大量廃棄軽減のためにも、発電事業者として取り組むべきは、買取期間を超えた長期稼働の継続と考えている。
これまでの主な取り組み
- 「太陽電池モジュールの環境配慮設計アセスメントガイドライン」の策定と公表。
- 「使用済太陽電池モジュールの適正処理に資する情報提供のガイドライン」の策定と賛同製造事業者による含有物質の公表。
- 太陽電池モジュールの適正処理が可能な産業廃棄物中間処理業者紹介(一覧表掲載)。
- 「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン第2版」作成のための会合で意見具申。
将来/大量排出時に備えての目指すべき方向
- JPEAは、上述の通り、全てのステークホルダーが関与した持続可能な適正処理・リサイクル・リユースの仕組みの構築が必要と考える。
- そのために、以下の観点で議論を深めるべく、関係省庁やステークホルダーと連携しながら、積極的に提案・働きかけに取り組んでいきたい。
- 1.発電所の維持管理から撤去・廃棄・リサイクルまでの一連の流れにおける課題の共有
- 2.各事業者が有機的に連携するルート・ネットワークの構築への働きかけ
- 効率的な収集運搬体制等(収集拠点の設置や巡回回収の運用)
- 3.リサイクルへ誘導する方策の検討
- リサイクルへの誘導を目的とした公的補助・インセンティブの提案
- リサイクル高度化・低コスト化に向けた基準/目標設定と事業者認定の提案
- 4.リサイクルされた素材の用途開発および受入拡大への働きかけ
地域との共生・共創に基づく長期安定稼働を実現するための環境整備
JPEAとしては「稼働済みの太陽光発電設備が、FIT買取期間終了後においても長期間稼働を継続することが、脱炭素化やエネルギー需給率の向上、電力コストの低減といった国民の便益を最大化し、さらには使用済み太陽電池パネルの排出量の低減にも繋がる」と考える。これを実現するにあたり、事業者には「電力市場への統合や付加価値の創出による収益の確保やコスト効率的な事業運営が求められる」とする。
同時に、国には「適切な維持管理に加え、買取期間終了を迎える発電設備への追加投資・再投資(リパワリング)等を促すこと」や「長期安定稼働を志す事業者への事業譲渡や集約化を後押しする施策」、「O&M事業等の地域内での集約化やスマート保安の普及促進、高効率太陽電池パネルの追加設置による収益改善、さらには蓄電池の併設を含め地域内外の再エネ設備を束ねて需給調整市場等で価値を創出するアグリゲーターの育成や電力市場の整備などの施策」が望まれると提言する。
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