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岩石への「蓄熱」で再エネ変動を吸収、東芝が実用化に向け実証をスタート:蓄電・発電機器
東芝が岩石蓄熱技術を用いた蓄エネルギーシステムの実証試験を開始。経済性にも優れ、再生可能エネルギーの出力変動対策などに活用できるという。
東芝は2022年11月21日、岩石蓄熱技術を用いた蓄エネルギーシステムの試験設備を同社横浜事業所内に設置し、技術開発・実証に向けた取り組みを開始したと発表した。
岩石蓄熱技術とは蓄エネルギー技術の一つ。再生可能エネルギーなどの余剰電力を活用してヒーターを稼働させ、その熱を岩石蓄熱材で構成する蓄熱槽に貯蔵する。この熱を必要に応じて活用して蒸気を作り、ガスタービンを回転させて発電を行う仕組みだ。
今後休廃止される老朽火力発電所や自家用発電設備などを有効活用することができ、リチウムイオン電池や水素に比べ、環境性、経済性および設備信頼性において優位性が見込まれるという。
東芝ではこれまで丸紅、中部電力と共同でこの技術の開発に取り組んできた。既に検討成果から、岩石蓄熱技術を用いた発電システムは、一定条件下において経済的メリットの観点からも実現可能性があると判断しているという、。
今回、東芝横浜事業所内に設置したシステムは、熱容量約500kWhの試験設備で、今後、熱挙動特性評価手法などを確立させ、熱エネルギーを効率的に制御できるシステムを開発し、実用化に近づけるとしている。
なお、今回の実証は環境省が実施する「令和4年度岩石蓄熱技術を用いた蓄エネルギー技術評価・検証事業委託業務」の一環として取り組んでいる。
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