電気業金は1年で1.3倍に、企業の対策トップは「こまめな節電」
帝国データバンクが、電気料金の値上げに対する企業の取り組みに関するアンケート調査結果を発表。電気料金のコスト増に対する対策や、自社の商品・サービスへの価格転嫁に関する状況をヒヤリングしている。
帝国データバンクは2022年12月7日、国内で続く電気料金の値上げに対する企業の取り組みについてのアンケート調査結果を発表した。
電気料金の総額が1年前と比べてどのように変化したか尋ねたところ、「【増加】20〜40%未満」とした企業は全体の34.4%で最も高くなった。次いで「【増加】20%未満」(30.0%)、「【増加】40〜60%未満」(12.4%)と続く。「増加」した企業を合わせると、86.6%の企業において1年前より電気料金の総額が増加している。また、電気料金の総額は1年前より平均28.7%増となった。
電気料金の増加分を、販売価格やサービス料金に転嫁しているかを聞いた項目では、「多少なりとも価格転嫁できている」と回答した企業は29.6%だった。一方、「全く価格転嫁できていない」と回答した企業は70.4%割にのぼった。
なお、電気料金の増加分に対する販売価格等への転嫁割合を示す「価格転嫁率」は9.9%と1割未満にとどまった。これは電気料金が100円増加した場合に9.9円しか販売価格等に反映できていないことを意味している。
また、電気料金の値上げ・節電要請への対応策(検討含む)について聞いた項目では、「こまめな消灯」(70.9%)がトップとなった。次いで「空調などの温度設定の見直し」(47.7%)、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」(31.8%)と続いている。太陽光発電などの「自家発電の設置または増加」(2.8%)を実施・検討している企業は、全体の2.8%にとどまった。
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