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「液化空気エネルギー貯蔵システム」が稼働へ、住友重機と広島ガスが商用実証プラント:蓄電・発電機器
住友重機械工業は2022年1月18日、同社の廿日市工場内に「液化空気エネルギー貯蔵(Liquid Air Energy Storage、LAES)」システムの商用実証プラントを建設し、実証運転を開始すると発表した。広島ガスと共同で実施するプロジェクトで、LAESシステムの実証プラントの稼働は国内初の事例になるという。
住友重機械工業は2022年1月18日、同社の廿日市工場内に「液化空気エネルギー貯蔵(Liquid Air Energy Storage、LAES)」システムの商用実証プラントを建設し、実証運転を開始すると発表した。広島ガスと共同で実施するプロジェクトで、LAESシステムの実証プラントの稼働は国内初の事例になるという。
LAESとは、電力を利用して圧縮・冷却して液化した空気を低圧断熱タンクに貯蔵しておき、必要に応じて再び気化し、その膨張エネルギーを利用してタービン発電機を稼働させて発電する技術。今回のプロジェクトにおいて利用するLAESシステムは、住友重機械工業が2020年2月に出資した英Highview Enterprises社が開発主体となる。
実証では、空気の液化プロセスで廿日市工場のLNGの冷熱を利用することで、充電効率を高めるという。放電時の容量は4.99MW×4時間で、充電時の負荷は4MWとなっている。具体的な検証項目としては、設計・建設における法令・規格への対応、日本の系統運営や電力需給市場への対応と合理化、未利用冷熱の相互利用による効率改善・省エネ効果の検証などを予定している。なお、実証プラントの稼働は2024年を予定している。
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