自治体の再エネ導入策は「屋根置き太陽光」がトップ、7割以上が導入済みに:太陽光
矢野経済研究所が自治体向けに実施した、カーボンニュートラル施策の動向に関する超察結果を公表。地域における再生可能エネルギー由来の電力の導入・利活用状況について聞いた項目では、「屋根置き太陽光発電」を導入している自治体が全体の71.6%にのぼり、回答項目としてはトップになった。
矢野経済研究所は2023年1月30日、共同通信社と協力して実施した、カーボンニュートラル施策の動向に関する自治体アンケート調査の結果を公表した。2022年9月末までに2050年のカーボンニュートラルを表明している229自治体(ゼロカーボンシティを表明している19都道府県、210市区町村)を対象とした調査で、地域における温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギーの普及に向けた自治体の方針や課題を分析している。
2030年度における地域の温室効果ガス排出量の削減目標の設定状況(単数回答)を尋ねたところ、「すでに目標がある」55.0%、「目標を設定する予定」35.4%となり、合計90.4%の自治体が2030年度における温室効果ガス排出量の削減目標を設定、もしくは設定を検討していることがわかった。2050年のカーボンニュートラルという長期目標に対し、2030年度をマイルストーンと考える自治体が多い様子が伺える。
地域における再生可能エネルギー由来の電力の導入・利活用状況について聞いた項目(単数回答)では、「屋根置き太陽光発電」を導入している自治体が全体の71.6%にのぼり、回答項目としてはトップになった。導入を検討している自治体(21.4%)を含めると9割超となり、2030年までは再生可能エネルギーのなかでも「屋根置き太陽光発電」が先行して導入が進む見通しだ。また、屋根置き太陽光発電の導入拡大に力を入れている自治体では、新築物件だけでなく既築物件への補助金などの導入支援策を実施している傾向も分かった。
なお、政府は地域におけるカーボンニュートラルの取り組みを促進する施策として募集をした「脱炭素先行地域」についていは、「まだ応募したことは無く、今後応募するかどうか検討中」が22.7%、「まだ応募したことは無く、今後応募するかどうか未定」が50.2%となった。
また、2022年4月に施行された改正地球温暖化対策推進法において、市区町村は地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための促進区域を設定できるようになった。
これを受け、再生可能エネルギーの促進区域の設定状況・予定について尋ねたところ(単数回答、210市区町村対象)、回答が得られた207市区町村のうち、「設定するかどうか検討中」は40.6%、「今のところ設定する予定は無い」は52.2%となった。「設定するかどうか検討中」と回答した自治体では、「促進区域に関する先行事例を収集している」「促進区域を設定するメリット、デメリットを見極めている」といった回答も半数程度みられ、現段階では促進区域の設定に対して慎重な姿勢を示す自治体が多い状況が明らかとなった。
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