機器数は最小で発電量は最大に、オムロンが完全自家消費向け三相パワコン:太陽光
オムロンが完全自家消費向けの三相パワーコンディショナーの新製品を発表。構成機器を減らすことでシステム設置コストを削減できる他、負荷追従機能を高めることで高効率な自家消費を可能にするとしている。
オムロン ソーシアルソリューションズ(OSS)は2023年4月、主に高圧の中規模太陽光発電所に向け、完全自家消費に対応した「完全自家消費三相システム」を同年9月から販売すると発表した。構成機器を減らすことでシステム設置コストを削減できる他、負荷追従機能を高めることで高効率な自家消費を可能にするとしている。
OSSでは2021年から単相タイプの自家消費向けシステムを販売しており、今回の新製品は中大規模に向けた三相対応のモデルとなる。パワーコンディショナーの外形寸法は875×525×300mm、重量は約55〜57kg。
消費電力に高速・高精度に追従して発電電力を制御することで、従来10〜20%ほど抑制していた発電電力の上限を、消費電力に対して最大で99%程度まで高められるようにした。発電電力が消費電力を上回り系統に電力が流れる逆潮流を高速に防ぐことができるため、システムの停止を防げるとともに、停電時に必要となる電気技術資格者の対応などの復旧コストの抑制が可能としている。
三相パワーコンディショナー対応の完全自家消費専用保護継電器(KP-PRRV-RPC)には、高圧受電での完全自家消費に必要な逆電力検知機能、地絡過電圧検知機能、バックアップ電源、電力計測機能に高精度負荷追従制御機能を加え、一つにまとめ小型化した(外形寸法:138×149×69.5mm、重量:0.8kg)。これにより設置容積を従来比で約85%削減でき、各種設定や設置が簡単になる他、配線を集約できることで工数の削減にも寄与する。
この他、OSSの完全自家消費対応産業用蓄電システム(KPBP-Bシリーズ)の併設が可能。この場合、通常時は三相・単相系統で自家消費し、停電時は単相負荷へ給電が行える。自立運転機能付の三相PCSを選択した場合には、独立コンセントとしても活用可能だ。また、モニタリングシステムについてはNTTスマイルエナジーの「エコめがね」もしくはOSSのシステムを利用できる。
販売目標は3年間の累計で1万台としている。
関連記事
- 太陽光パネルは「N型」が主流に、次世代モジュールの覇権争いが本格化
太陽光パネルの技術トレンドが、ここにきて大きく変わってきた。世界シェア上位のパネルメーカーのほとんどが、主力製品を「P型」から「N型」に移行しようとしているのだ。先頃、東京ビッグサイトで開催された「PX EXPO」でも、初披露となったモジュールの大半がN型だった。 - 太陽光の「完全自家消費」に対応するパワコン、オムロンが新開発
オムロンは事業者が太陽光で発電した電力を売電することなく自身で全て消費する、「完全自家消費」に対応した新型パワーコンディショナーを2020年6月から販売すると発表。完全自家消費を実現するために必要な機能を内蔵し、システム構成機器数の最小化を実現できるという。 - 太陽光パネルを“垂直設置”する新システム、少面積でも太陽光発電を導入可能に
エア・ウォーターはルクサーソーラーと共同で、駐車場併用タイプの垂直ソーラー発電システム「VERPA(ヴァルパ)」を開発したと発表した。日本市場を対象として同年5月から販売を開始する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.