4種のNon-FIT太陽光から電力調達、京セラが「再エネ電力供給ビジネス」に本格参入:電力供給サービス(2/2 ページ)
京セラが、自社製の太陽光発電システムと電力調達/販売をセットにした電力供給ビジネスを開始した。企業向け、住宅向け、それぞれに初期費用ゼロのNon-FIT太陽光スキームを展開する。
京セラ製パネルによるオンサイトPPAサービス
京セラは、2019年に設立した「京セラEPA合同会社」を通じ、太陽光発電システムを導入したい企業が初期投資なしで設備を設置し、再エネを自家消費できる産業向けのオンサイトPPA電力供給サービスを2023年10月1日よりスタートした。
近年、再エネの自家消費を希望する企業が増加するなか、太陽光発電システムの初期投資負担が課題となっている。これを解決するため、初期投資なしで太陽光発電システムを設置し、使用量に応じてサービス料を事業者へ支払うPPAサービスを活用する企業が増えている。
京セラのサービスもこれに該当し、得に企業の敷地内(オンサイト)に太陽光発電システムを設置する場合を対象とする。製品からシステム設計、発電管理・運営、再エネ電力供給まで、京セラならではの一貫したワンストップサービスにより、長期間、安心で安定した再エネの提供が可能になるという。同社が掲げる主な特長は以下のとおり。
- 高品質で長期信頼性を有する京セラ製太陽光発電システムを使用することができ、契約期間終了後は無償譲渡される(再契約や撤去も選択可能)
- 京セラからの直接サービス提供により、これまでのスキームでは導入が難しかったケースでも、導入企業のニーズに合わせた提案が可能
- 余剰電力を京セラが有効活用し、再エネを必要とする他企業へ販売することでサービス料が抑えられる
蓄電池もセットにした住宅向け定額サービス「HOUSmile_e」
一般家庭に向けては、初期費用なしで太陽光発電システムおよび蓄電システムを導入できる住宅向けエネルギーシステム定額サービス「HOUSmile_e(ハウスマイルイー)」を展開する。10月1日より申し込み受付を開始した。企業向けのオンサイトPPA電力供給サービスとは異なり、電気の使用量に関わらず毎月定額料金での契約となる。具体的な特徴は以下の通り。
1.初期費用なしで太陽光発電システムおよび蓄電システムを導入可能
毎月定額料金を支払うことで、京セラの太陽光発電システムと、長寿命・高安全性を実現したクレイ型リチウムイオン蓄電システム「Enerezza」(エネレッツァ)の導入が可能となる。毎月の定額料金は、ニーズに合わせて選ぶことができる。
2.契約期間終了後は無償譲渡
契約期間(10年もしくは15年)終了後は、太陽光発電システムおよび蓄電システムは無償譲渡される。定額料金の支払いなしで発電した電力を利用できるので、電力料金の節約になる。
3.蓄電システムにより夜間や万一の災害時にも発電した電力を使用可能に
太陽光発電システムだけでなく蓄電システムもセットにすることで、昼間に発電して使いきれずに余った電力を蓄えることが可能となる。そのため、夜間や雨天などでも自宅で使用するための電力が確保でき、電力会社からの電力購入を減らすことができる。また、万一災害などによる停電があった際も、蓄電システムがあれば、貯めていた電力を使用することで、安全性や快適さを確保できる。
4.余った電力は京セラが受給管理し無駄なく再エネを活用
晴れた日の昼間、太陽光発電は自宅で消費しきれないほどの電力を発電する場合がある。そのような時は、使用しなかった電力を蓄電システムに貯めて夜間に利用できるが、蓄電システムにも貯めきれない分については、京セラが需給管理を行い、再エネを必要とする需要家(京セラ自社工場や他企業など)へ供給する。
なお、今後は、同サービスを自社で展開するほか、家を建てる工務店やハウスビルダー、電力供給ビジネスを行う新電力などの事業主にも活用を促していく方針だ。ハウスビルダーにとっては「建設コストに太陽光発電システムや蓄電システムの費用を上乗せすることなく、顧客に提案できる」ようになり、新電力においては「サービスのレパートリーが広がり、顧客に最適なプランを提案できる」というメリットが生まれるとしている。
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