太陽光の電力を「直流のまま」活用、NTTアノードと金沢工大が実証へ:太陽光
NTTアノードエナジーと金沢工業大学が、太陽光発電の電力を直流のまま活用する実証を開始した。
NTTアノードエナジーと金沢工業大学は2023年11月、「金沢工業大学扇が丘キャンパス」(石川県野々市市)に太陽光発電と蓄電池を設置し、直流による自営線網を構築したと発表した。太陽光発電の電力を直流のまま、電力ロスを低減したかたちでLED照明やサーバーなどに供給する狙い。
この実証ではキャンパスの北校地に直流1500V、南高地に直流380Vの自営線網を構築。両校地間で電力融通が可能なシステムとなっており、太陽光発電の電気を直流のまま直流LED照明や、直流サーバーの各設備に供給する。ループ系統の採用により、直流配電にトラブルがあった際でも、配電事故点の切り離しによる継続給電が可能だという。
従来、太陽光発電の電力を直流のまま使うためには、直流入力に対応した負荷設備の導入が必要だった。しかし、今回の実証では換気設備や空調設備などの一般的に交流入力とされていた設備において、内部の変換装置(インバータ)により直流入力でも動作することに着目し、直流のまま供給を行っている。
このプロジェクトにより、システム全体で年間175トン、設備導入前比で43%のCO2削減を目指す。災害などの系統停電時には、太陽光発電と蓄電池、双方向直流EV急速充電器とEVにより、野々市市の指定避難所となっている南校地の体育館に必要な電力を自律的かつ効率的に供給し、電源バックアップの時間を大幅に増やすことができるとしている。
NTTアノードエナジーと金沢工業大学では今回の事業を通じて、扇が丘キャンパス内にとどまらず、近隣の建物施設への直流による再エネ電力融通の展開を検討するとしている。また、事業の成果を踏まえて、地方自治体や一般のユーザーにも提案を広げる方針だ。
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