洋上風力の入札結果が公表、賦課金なしの価格「3円」が実現可能に:自然エネルギー
経済産業省と国土交通省が再生可能エネルギー海域利用法の入札に基づく、国内3海域での洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公表した。
経済産業省と国土交通省は2023年12月13日、再生可能エネルギー海域利用法の入札に基づく、国内3海域での洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公表した。
今回公表されたのは、「男鹿市・潟上市・秋田市沖」「村上市・胎内市沖」「西海市江島沖」の3海域。供給価格は「西海市江島沖」が22.18円/kWhで、残る2海域についてはゼロプレミアム水準となる3kWh/円となっている。なお、「八峰町及び能代市沖」の案件については、最高評価の事業者の港湾利用が重複しているため、計画の再提出を求めた上で2024年3月に落札者を公表する予定。
「男鹿市・潟上市・秋田市沖」の落札者はJERA、電源開発、伊藤忠商事、東北電力のコンソーシアム。デンマークVestas社製の出力15MWの風車を21基、合計出力315MWで、2028年6月の運転開始を予定している。
「新潟県村上市及び胎内市沖」は三井物産、RWE Offshore Wind Japan村上胎内、大阪ガスのコンソーシアムが落札。GE製18MWの風車を38基、合計684MWのプロジェクトで2029年6月の運転開始を計画している。
「長崎県西海市江島沖」は住友商事、東京電力リニューアブルパワーのコンソーシアムが落札した。Vestas社製の出力15MWの風車を28基、合計420MWの発電規模で、2029年3月に運転を開始する予定だ。
事業者の選定に係る評価の方法は、「価格点」と「事業実現性評価点」(それぞれ120点満点)の合計で、最も得点が高かった事業者が選ばれる仕組み。今回、供給価格の上限は、「西海市江島沖」で29円/kWh、それ以外の3海域では19円/kWhに設定していた。ただし再エネ賦課金が発生しない「ゼロプレミアム水準」以下の価格で入札を行った場合は、価格の大小を問わず「価格点」を120点満点とする仕組みとなっている。今回この「ゼロプレミアム水準」は3円/kWhに設定されていた。
「男鹿市・潟上市・秋田市沖」「新潟県村上市及び胎内市沖」では、入札を行った事業者の大半がゼロプレミアム水準の3円/kWhで入札を行っており、運転開始予定時期などを含む、事業実現性評価点の部分で差がついたかたちとなった。
なお、3円/kWhのゼロプレミアム水準とは、FIP制度に基づくものであるため、電力市場価格が3円/kWh以下の時は単価3円での供給、市場価格がそれを上回る場合は、それに応じた価格での供給となる。
関連記事
- 大型化が進む洋上風力発電、新たな環境アセスメント制度を検討へ
国内でも導入に向けた動きが加速している洋上風力発電。設置される風車の大型化とともに大規模化が進むなか、政府では新たな環境アセスメント制度の創設に向けた検討を進めている。現行制度の課題と、今後の見通しをまとめた。 - 洋上風力をめぐる入札制度の見直し、「迅速性評価」や“総取り防止”の仕組みを導入
国内における洋上風力発電の実施事業者を決める入札制度。2021年のいわゆる「第1ラウンド公募」の結果などを受け、その制度の見直しが進んでいる。政府では今後、入札を延期している3海域での入札について、事業の迅速性評価などの仕組みを導入した新たな公募占用指針の策定を行う計画だ。その方向性を解説する。 - 再エネを北海道から東京へ送る「長距離直流送電」、実現への課題と今後の展望
日本国内における将来的な洋上風力の導入拡大を見越し、発電した電力を遠方の需要地に送電できる「海底直流送電」の実現に向けた検討が進んでいる。2021年3月からスタートした「長距離海底直流送電の整備に向けた検討会」で議論された、これまでの論点と今後の展望をまとめた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.