京セラがクレイ型リチウムイオン電池の新モデル、寿命を1.6倍以上に向上:蓄電・発電機器
京セラが住宅向け蓄電システムの新製品「Enerezza Plus」(エネレッツァプラス)を発表。半固体クレイ型リチウムイオン蓄電池を採用した「世界初」(同社)のモデルで、従来より長寿命化を実現した。
京セラは2024年2月20日、住宅向け蓄電システムの新製品「Enerezza Plus」(エネレッツァプラス)を製品化し、今春より販売すると発表した。半固体クレイ型リチウムイオン蓄電池を採用した「世界初」(同社)のモデルで、従来より長寿命化を実現した。
クレイ型リチウムイオン蓄電池とは、京セラ独自の粘土状の材料で電極を形成する技術を利用した蓄電池。電解液を用いる一般的なリチウムイオン電池と比べて、高安全性、長寿命、コストの面で優位性を持つ蓄電池として、2020年に生産を開始した。京セラによると、従来製品は1万2000回の充放電で容量が60%に減少していたのに対し、このクレイ型を採用したエネレッツァプラスでは約1.67倍の2万回の充放電に対応するという。
エネレッツァプラスは容量5.5kWhを1ユニットとし、これを複数台組み合わせた11.0kWh、16.5kWhの3つの容量ラインアップを展開。マイナス20℃から40℃までの屋内外への設置に対応し、1ユニット当たりの外形寸法はW485×H562×D280mm、重量は64kgとなっている。
太陽光発電と蓄電池の両方に1台で対応できるマルチ入力型パワーコンディショナーとセットで販売を行う。税込み価格は5.5kWhのモデルが341万円、11.0kWhモデルが561万円、16.5kWhモデルが781万円となっている。
マルチ入力パワーコンディショナーは、停電時は太陽光発電システムや蓄電池以外の外部電力も連携可能。電気自動車や発電機、ポータブルバッテリーなどの電力を自宅内で使用できる。また、6.0kVAまで出力可能なため、停電時に自立運転を行った場合でも、幅広い家電製品を同時に利用できるとしている。
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