新出力制御に対応! オムロンが“余剰売電型”の自家消費システムを開発:太陽光
オムロンが「スマートグリッドEXPO」に出展。新出力制御に対応した「余剰売電型自家消費三相システム」を披露した。
オムロン ソーシアルソリューションズは、「スマートグリッドEXPO」(東京ビッグサイト、2024年2月28日〜3月1日)に出展し、新製品の「余剰売電型自家消費三相システム」を披露した。
同社では2021年から発電事業者が太陽光で発電した電力を売電することなく、全て施設内で消費する「完全自家消費システム」を提供している。そのラインアップの一つである三相タイプに新たな機能を加えたのが、今回展示した「余剰売電型自家消費三相システム」だ。
新製品の大きな特徴の一つが新出力制御への対応だ。従来、出力制御の指令が出た場合は、太陽光発電の発電量を一定時間、一律の出力値に抑える必要があった。これは系統を通じて売電を行わず、自家消費を行っている状態にも適用されるため、設置した太陽光発電の性能を生かしきれない時間帯が発生するという課題があった。
「余剰売電型自家消費三相システム」では、こうした課題の解決に向けて2023年6月に改正された新出力制御に対応。自家消費分の電力を抑制することなく売電を可能にした。これは同社がこれまでに販売を行ってきた完全自家消費システムに搭載している「高精度負荷追従技術」を応用したことで実現したという。同技術は、従来10〜20%ほど抑制していた発電電力の上限を、消費電力量に対して最大で99%程度まで追従できるとうもの。これにより大幅な売電ロスを回避でき、太陽光発電を最大限に有効活用できるメリットがあるとしている。
システムは、太陽光発電用パワーコンディショナーと専用保護機器、専用ゲートウェイボックスで構成する。最大500kWまでの中規模高圧領域をカバーできる。なお。同じシステム構成で、完全自家消費システムとしても活用でき、それぞれでシステム設計が異ならないため、設置や施工コストの面でメリットがあるとしている。また、機能ごとに在庫を持つ必要がないので、在庫数量や保管場所を削減できる。
同システムの販売は2024年4月からを予定している。3年間の累計販売目標は1万台。
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