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国内最大級16MMの水素製造システムを導入、山梨県のサントリー工場に:蓄電・発電システム
山梨県と企業10社が、国内最大級の水素製造システムの導入実証を開始する。「サントリー天然水 南アルプス白州工場」および「サントリー白州蒸溜所」に水素製造装置を導入する建設工事を開始した。
山梨県と企業10社は2024年2月20日、「サントリー天然水 南アルプス白州工場」および「サントリー白州蒸溜所」に水素製造装置を導入する建設工事を開始したと発表した。水素エネルギーを活用する「やまなしモデルP2Gシステム」の構築を目的としたプロジェクトだ。
やまなしモデルP2Gシステムは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業として、山梨県と技術開発参画企業10社が共同で開発を行ってきた、固体高分子形の水の電気分解から水素を製造する技術。現在実用化されている水電解による水素製造技術は、水酸化カリウムの強アルカリ溶液を使用する「アルカリ形」と、純水を使用する「固体高分子(PEM)形」の2種がある。PEM形はアルカリ形に比べると変動する電力の需給バランスに対して柔軟性が高く、設備をコンパクト化しやすい特徴があるという。
今回の取り組みでは、PEM系の16MW規模の水素製造システムを、サントリーの工場に導入し、ボイラーなどで使用する化石燃料を水素に転換するプロセスを実証する。16MW規模の水電解装置の導入は、国内最大規模になるという。
水電解装置の稼働には、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用。サントリー天然水 南アルプス白州工場の殺菌工程で使う蒸気の熱源など、工場で使用する熱エネルギーの燃料を水素へ転換したり、周辺地域等でのグリーン水素活用についても検討を行う予定としている。
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