プールの水面にペロブスカイト太陽電池を設置、国内初の浮体式実証:太陽光
国内初の浮体式で設置するペロブスカイト太陽電池の実証実験がスタート。積水化学ら3社が、東京都内のプールを利用して実証を行っている。
積水化学工業、エム・エム ブリッジ、恒栄電設は2024年4月3日から、東京都北区でフィルム型ペロブスカイト太陽電池をプール上に設置するための共同実証実験を開始した。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として注目を集めている。
今回の実証では、東京北区の閉校となった学校プールに、浮体式の架台を利用してペロブスカイト太陽電池を設置した。従来の水上設置の浮体式太陽光発電システムでは、太陽電池および架台の重量を支持する浮体構成や施工性等に課題があったという。この解決を目的に、今回の実証ではペロブスカイト太陽電池の軽量性を生かした浮体構成や施工性の検証を検証する。なお、浮体式ペロブスカイト太陽電池の実証実験は国内初の事例になるという。
積水化学ではペロブスカイト太陽電池について、30cm幅のロール・ツー・ロール製造プロセスを構築している他、発電効率15.0%の同電池の開発に成功。現在は実用化に向けて、1m幅での製造プロセスの確立に向けた研究開発や、実証実験に取り組んでいる。今回の実証も、こうしたペロブスカイト太陽電池の普及に向けた取り組みの一環となる。
総合エンジニアリング企業のエム・エム ブリッジは、前身の三菱重工業から継承した浮体の構造設計や係留方法などを、ペロブスカイト太陽電池の浮体式システムに活用することを目指す。
恒栄電設は、測定するデータや負荷制御のカスタマイズ性を持つ同社の計測制御システムを活用することで、水上環境や浮体構成ならではのデータの測定、浮体式ペロブスカイト太陽電池の設置実験に有用なデータの取得と活用を目指す狙いだ。
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