世界の太陽電池市場は2040年に1TW以上に、日本市場は金額ベースでは減少:太陽光
富士経済が太陽電池関連の世界市場調査の結果を公表。2040年までに太陽電池の世界市場は、2023年比率で2.4倍の1118GW、金額ベースでは約1.5倍の21兆8261億円規模に拡大すると予測している。
調査会社の富士経済は2024年9月14日、太陽電池および関連製品の市場調査結果を発表した。それによると2040年までに太陽電池の世界市場は、2023年比率で2.4倍の1118GW、金額ベースでは約1.5倍の21兆8261億円規模に拡大すると予測している。
2024年の太陽電池の世界市場規模は、出力ベースで690GW、金額ベースで14兆1855億円と予測した。これは2023年の市場規模と比べて、出力ベースは140.5%と拡大したが、金額ベースでは94.2%と微減傾向となっている。これは生産量が増えたことによる供給過剰状態が、販売価格の下落につながったためと分析している。
今後については、生産能力の急拡大に伴う供給過剰により、短期的には需給バランスの不安定や価格下落、さらには大企業を中心とする業界再編が起こるとみられるが、今後も需要は増加し市場拡大が続くとした。
各国では生産の中国依存を脱却し、自国生産に切り替える動きがみられる。米国では2022年8月のIRA(インフレ規制法)成立を契機に生産設備投資が活発化しているほか、欧州でも自国生産が推進されている。中長期的には中国以外で生産された製品の割合増加や、中国メーカーの淘汰や集約が進むことで、販売価格の上昇が進むと予測した。
国内市場も出力ベースでは拡大
国内市場の2024年度の市場規模は出力ベースで2430億円、金額ベースで6860MWと予測し、これは前年度比でそれぞれ86.5%、88.4%と減少傾向となった。これについては、住宅用は成長が続くとみられるものの、非住宅用が特に出力500kW以上の発電事業向けを中心に苦戦している影響としている。
今後については2020年代後半に向けて非住宅向けの減少が続き、住宅向けも金額ベースでは2026年度ごろから減少に転じるため、市場は今後も縮小していくと予想。長期的には住宅用が将来的に頭打ちとなる一方、非住宅用は出荷が増え、2040年度に向けて市場は拡大していくと予測した。
具体的には2040年度の市場規模は出力ベースで8660MW(2023年度比111.6%)、金額ベースでは2124億円(同75.6%)となっている。
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