風車に“サメ肌”フィルムを貼って発電効率を向上、ユーラスとニコンらが実証実験:蓄電・発電機器
ユーラスエナジーが運営する風力発電所の風車に、ニコンが開発した“サメ肌”をモチーフにした特殊フィルムを導入。フィルムの特殊形状がもたらす空気抵抗の低減により、発電効率の上昇が見込めるという。
ユーラスエナジーホールディングスは2024年9月24日、ニコンが独自開発したフィルムを既存の風力発電所の風車ブレードに装着し、発電効率の向上率を検証する実証実験を開始したと発表した。
実証で装着するフィルムは、リブレットという特殊な溝の構造を持つ。リブレットとはバイオミメティクス(生物模倣)の一種で、サメの肌の縦溝形状が水の抵抗を軽減していることにヒントを得て開発された構造。液体や気体と接触する面にこの微細なリブレット構造を形成することで、流体の不規則な流れによる摩擦抵抗を低減できるという仕組みだ。ニコンは独自のレーザー加工技術により、このリブレットを再現したフィルムなどを開発している。
実証実験ではこのニコンが製造したフィルムを、「ユーラス宗谷岬ウインドファーム」(北海道稚内市)の風車のブレードに装着する。具体的には、9月10日より1年間、リブレットフィルムを装着した風車を試験運転し、発電効率の向上とリブレットフィルムの耐久性などを確認する。風況条件の近い1MWサイズの風車2基を3ペア選び、一方にリブレットフィルムを装着し、もう一方は装着せず、リブレットフィルムの有無による発電量などを比較する。
ニコンではブレットフィルムを装着することで、風力発電の発電効率が約3%改善すると試算しているという。この試算に基づき、リブレットフィルムをユーラス宗谷岬ウインドファームにある57基の風車すべてに展開した場合、約1710世帯分の年間電気使用量に相当する発電量の増加が見込めるとしている。
なお、風車のブレードにリブレットフィルムを装着して発電効率の向上を目指す実証実験は日本初の試みになるという。
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