合成メタンの環境価値をクリーンガス証書制度で移転、東京ガスが国内初の取り組み:自然エネルギー
東京ガスと横浜市が、クリーンガス証書制度を利用し、東京ガスのメタネーション実証設備で製造したメタンの環境価値を、山下公園通りに設置されているガス灯に適用すると発表した。
東京ガスと横浜市は2024年10月28日、クリーンガス証書制度を利用し、東京ガスのメタネーション実証設備で製造したメタンの環境価値を、山下公園通りに設置されているガス灯に適用すると発表した。メタネーション由来の合成メタンについて、クリーンガス証書制度を利用して環境価値移転を行うのは日本初の取り組みになるという。
クリーンガス証書制度とは、CO2と水素で製造するメタネーション由来の合成メタンやバイオガスなど、燃焼しても大気中のCO2が増えないとみなせるガス類を対象に、クリーンガスとしての証書を発行する制度。クリーンガス証書評価委員会が製造設備の認定と、認定された設備により製造されたクリーンガス相当量の認証を行い、証書発行事業者が「クリーンガス証書」を発行することで、メタンやバイオガスなどの環境価値をエネルギー価値から分離し、移転することが可能になる。
東京ガスと横浜市では2021年にメタネーション実証試験に向けた連携協定を締結。2023年7月から三菱重工グループと共同で横浜市資源循環局鶴見工場の排ガスから分離・回収したCO2を、東京ガスのメタネーション実証設備に輸送し、再生可能エネルギー由来のグリーン水素と合わせてメタンを製造する原料として活用する実証を進めている。
今回の取り組みでは、この実証を行っている「東京ガス横浜テクノステーション メタネーション実証設備」で製造したメタンについて、グリーンガス証書制度を活用。 2024年10月31日から一定期間、取得したクリーンガス証書の環境価値を山下公園通りのガス灯(全42灯)に活用することで、ガス灯で使用する燃料を実質的にクリーンガス化する。
東京ガスは2024年8月から、横浜市下水道河川局北部下水道センターの再生水と消化ガスを、水素とメタン製造用の原料として活用する実証も開始している。今後、これらを原料にしたメタンやバイオガスとの混合ガスについても、クリーンガス相当量としての認証を受け、活用する計画だ。
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