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水素を30%混焼可能な国内初の大型ガスエンジン、川崎重工が運用を開始:蓄電・発電機器
川崎重工が開発を進めていた、水素を30%混焼できる大型ガスエンジン発電設備が稼働を開始した。
川崎重工は2024年11月15日、神戸工場の水素を30%混焼できる大型ガスエンジン発電設備の運用を開始したと発表した。体積比で30%の水素が適用可能な発電出力5MWを超える大型ガスエンジン発電設備としては、国内初になるという。
同社は高効率・低NOx(窒素酸化物)をコンセプトとした天然ガス・都市ガスを燃料とするガスエンジン「カワサキグリーンガスエンジン」の開発に取り組んできた。またガスエンジンに水素を適用する技術開発に取り組む中で、神戸工場で稼働している都市ガスを燃料とする、発電出力7.5MWの大型ガスエンジン発電設備を水素混焼仕様へ改造を進めてきた。
このほど一連の試運転を完了し、都市ガスまたは最大30%の水素と都市ガスの混合燃料が適用可能なガスエンジン発電設備として運用を開始した。エンジン型式は「KG-18-T」で、定格出力は7.5MWとなっている。この設備で発電した電力を神戸工場に供給することで、水素供給やメンテナンス性などの運用面での検証を進めるという。
今後、生産準備を行い、カワサキグリーンガスエンジンの水素混焼モデルの市場投入を目指す。また、2025年には既に顧客に納入したエンジンの水素混焼改造工事も開始する計画だ。
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