ペロブスカイト太陽電池の国内市場、2040年度に1.5GW規模に拡大へ:太陽光
矢野経済研究所がペロブスカイト太陽電池(PSC)および関連部材の国内市場の調査結果を発表。2040年度には1.5GWのペロブスカイト太陽電池による新規導入容量が見込まれるという。
矢野経済研究所は2024年11月15日、ペロブスカイト太陽電池(PSC)および関連部材の国内市場の調査結果を発表した。それによると2040年度には1.5GWのペロブスカイト太陽電池による新規導入容量が見込まれるという。
ペロブスカイト太陽電池は、一般的な結晶シリコン太陽電池と比較して製造プロセスにおける環境負荷が少なく、材料・部材の国内調達が可能、さらに軽く柔軟で高効率という点から次世代太陽電池として注目されている。国としても導入拡大に向けた取り組みを進めており、「2030年を待たずにギガワット級の量産体制構築を前提に検討」という方針が打ち出されている。
メーカー側の量産開始時期は早い企業で2028〜2029年頃になる見込みで、2030年にGW級の発電容量を確保するには現状ではハードルが高い。調査結果では、まずは公共施設、公共住宅などでの試験的な設置が中心となると考えられることから、2030年度の太陽光発電新規導入容量に占めるPSCによる新規導入容量の構成比は、1%前後からのスタートになると予測している。その後、工場や倉庫など重量制限のある建物の屋根やビル外壁などの垂直面での活用が進むと考えられ、2040年度には1.5GWのPSCによる新規導入容量(構成比19.5%)が確保される見通しとした。
この予測数値は国が推進する「2030年にGW級」という目標と比較すると、かなり控えめな数字といえるが、調査レポートでは「発電容量確保を優先して既存の太陽電池からの置き換えを進めても、結晶シリコン太陽電池や海外生産されたペロブスカイト太陽電池との価格競争となり、利益の確保は難しいと考えられる」とする。
高付加価値産業としてペロブスカイト太陽電池市場を育てていくのであれば、今後数年でGW級という規模を優先した拡大策ではなく、既存の太陽電池にはない独自の用途・市場を開拓する必要があると指摘した。
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