多発する太陽光発電所のケーブル盗難、官民の対策や取り組みの最新動向:太陽光発電事業リスクに直結(2/3 ページ)
もはや銅線ケーブル盗難は、太陽光発電業界だけの課題ではない。社会の電源インフラを脅かす問題として、警察庁も動き出した。国や業界団体の取り組みや、対策ソリューションの動向を紹介する。
狙われやすい太陽光発電所の特徴とは?
太陽光発電所のケーブル盗難には、さまざまなリスクがある。太陽光発電協会(JPEA)と再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(REASP)によると、ケーブル盗難は「防犯機器や弊機器の毀損」「PCSや分電盤、遮断機、キュービクルの損傷」などにより、ケーブルの張り替えだけでなく、機器の取り換えや回復工事などに3カ月以上かかる場合もあり、「発電停止による経済的損失」も大きい。
また、盗難に遭うと「保険料が大幅値上げになり、免責範囲も見直し」となり、自己負担が増えてしまう。最近では、保険が不担保になる事例も発生しているという。さらに、保険でカバーできないリスクを事業者で負担するよう融資元から要請されることもあり、事業継続そのものに関わる問題となっている。
両協会は、狙われやすい発電所に共通する特色として次の5つを挙げ、注意を喚起する。
- 一目につきにくい立地場所
- 外から見えにくい
- 一見して、保守点検が十分ではない
- 防犯・警備状態が十分ではない
- コロガシ配管(地上配管)
- 逃げやすい(側道)
ケーブルを盗む犯人像としては、「複数犯による深夜の犯行で、必ず事前に、下見で侵入ルートや犯行計画を立て、短時間で逃走を企てており」、「特に最近は、下見の段階で防犯・警備状態の脆弱性を確認して、犯行に及ぶ例が増えている」という。
関係事業者としては、盗難被害に遭わないよう定期巡回や定期的な草刈り、定期保守点検などと併せて、総合的な防犯対策を行っていく必要がある。具体的には「入らせない」「取られない」「買い取らせない」の3つの観点から検討していかなければならず、「入らせない」「取られない」については発電事業者や保守点検事業者による自主対策が中心となる。また、「買い取らせない」ためには、法令による規制強化を含む出口対策が重要であると指摘する。
こうした認識のもと、国に対しては、「全国規模でのケーブル盗難対策の強化策として、法令での規制強化、例えば、古物営業法における対象拡大、金属スクラップ取扱い事業者の登録制の検討」などを要望している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
