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超伝導で鉄道に電力供給 鉄道総研とJR東日本が中央本線で実証へ:省エネ機器
鉄道総合技術研究所とJR東日本は2025年2月25日、中央本線の日野駅-豊田駅間において「超電導き電システム」の実証実験を開始すると発表した。
鉄道総合技術研究所とJR東日本は2025年2月25日、中央本線の日野駅-豊田駅間において「超電導き電システム」の実証実験を開始すると発表した。
変電所から車両に送電する場合、き電線の電気抵抗によってエネルギーロスが生じるため、車両の受電電圧が低下しないよう、変電所を密に配置する必要がある。鉄道総合技術研究所はこうした車両運用におけるエネルギーロスの削減に向けて、超電導を活用したシステムの開発と実証を進めてきた。
今回開発した超電導き電システムは、一定の温度以下で電気抵抗がゼロとなる超電導材料を素材に用いた超電導ケーブルと冷却装置で構成。変電所から送り出した電力の損失を抑制して車両へ送ることができる。これにより、変電所の集約化の他、ブレーキ時に発生する回生エネルギーのより有効的な活用などが期待できるという。
実証は2025年3月から都市圏鉄道の実環境となる中央本線の下り線に、開発した超電導き電システムを接続。日野駅から八王子方面へ向かう営業列車に超電導ケーブルで電気を送る営業実証試験を行う。
営業ダイヤに応じた複数の営業列車の力行に必要な電力の供給や、ブレーキ回生により生じた電力の他列車への供給といった複合した電力を超電導ケーブルで送るなど、機能の実証を目的とした試験を実施し、超電導き電システムの課題抽出を目指すとしている。
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