ソーラーシェアリングと水田稲作の相性は? 最新の研究成果を読み解く:ソーラーシェアリング入門(71)(2/2 ページ)
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は2025年に公開され話題となっている、水田における営農型太陽光発電の研究成果について見ていきます。
山形大学による酒田市での水田営農型太陽光発電の研究
2025年1月には、山形大学農学部の茄子川助教を中心とする研究チームによる「Rice yield and energy balance in an agrivoltaic system established in Shonai plain, northern Japan」と題した論文が公表されました。山形県酒田市にあるスリムタイプの太陽電池モジュール(UL-125 M-24)を採用した水田営農型太陽光発電設備において、2021年から2023年にかけて米(はえぬき)を栽培した結果が報告されています。こちらのリンク先に論文が掲載されています。
この研究結果でも、営農型太陽光発電設備下において植物が光合成に利用できる波長の光の密度を示すPPFD(光合成光量子束密度)の値の減少によって、米の収穫量が20%以上減少したことが示されているほか、発電設備に投入されたエネルギー収支は発電開始から2年目にはプラスに転じる(エネルギー投入分が回収される)といったことも報告されています。発電や稲作による経済的な収入だけでなく、エネルギー収支も評価されている点が注目されます。
それぞれの研究結果から
今回取り上げた2つの研究では、いずれも米の収穫量が設備のない場合と比べて20%以上減少するという結果が報告されています。ただし、一時転用許可におけるいわゆる「収量8割ルール」の基準は地域(同一市町村の区域)内における同じ年産の平均的な単収との比較になるため、直ちに一時転用許可の基準に適合していないとは言えないことに注意が必要です。
また、東京大学の加藤教授の研究チームによる研究結果は、2016年という水田の営農型太陽光発電としては早期に設置された設備において、遮光環境であることを考慮せずに従来通りの米の品種並びに栽培方法で生産した結果として、先行研究で示されている程度の収量減少が確認されたという点に特に意義があると捉えています。加えて、6年間の調査を行ったことで気象条件によって設備下の米の収穫量にばらつきが出ることが確認されたほか、総降雨量が少ない年には収穫量に有意な差が生じなかったことも新たに判明した事実だと言えるでしょう。
こうした研究結果が公表されると、単純な収穫量の減少率や売電と農作物の売上げ比などに対して注目が集まりがちですが、特に農業面では営農型太陽光発電設備下であることを踏まえた特別な栽培上の配慮を行わず、従来通りの栽培を行うとどのような結果になるかが観察されたというのがポイントです。東京大学のプレスリリースの最後にも書かれていますが、研究結果を踏まえて「今後は営農型太陽光発電水田に適した栽培管理技術の開発や新たな水稲品種開発に取り組んでいくこと」が必要だと言えるでしょう。
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