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営農型太陽光発電に関する政策動向 栽培作物の最新データも公開ソーラーシェアリング入門(71)(2/2 ページ)

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は農山漁村再エネ法に基づく方針改正の内容や、新たに公開されたソーラーシェアリング関連のデータについて解説します。

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「望ましい営農型太陽光発電に関する検討会」と新たな公開データ

 検討会は、農林水産省大臣官房環境バイオマス政策課再生可能エネルギー室を事務局とし、6名の委員が選任されています。私も委員を拝命していますが、検討会は非公開かつ議事も概要のみを公開する形態で運営されていることから、ここでは農林水産省の検討会Webページなどに掲載されている資料の範囲でその内容を取り上げます。以下の図表は、全て検討会の第1回における事務局資料(資料2)からの引用です。

 まず、今回の検討会に際して新たに開示されたデータがあります。それが、営農型太陽光発電設備下における栽培作物と単収のデータと、主な栽培作物の面積データです。栽培作物と単収については、下記の通り地域の平均的な単収と比較した際の単収の確保割合が一部の作物について示され、営農型太陽光発電設備の栽培作物として著名な、さかき・ブルーベリー・みょうがが作付面積上位の作物として、また単収を確保できている割合が高い作物として米・大豆・そばのデータが公開されました。


作付面積別に見た栽培作物のデータ 出典:望ましい営農型太陽光発電に関する検討会 事務局資料より 

 このデータでは、さかきやブルーベリーなど苗木から収穫・出荷開始まで数年を要する作物の育成期間は収穫量が0%とカウントされていることに注意が必要ですが、それを踏まえても単収確保の度合いに大きく明暗が分かれているという見方もできるものになっています。次に栽培作物別の作付面積データを見ると、さかきがやはり突出して多くなっており、ブルーベリーとみょうがが続いていることが分かります。「さかき・しきみ」と一括りにされることも多いですが、やはりさかきの多さは顕著ですし、一方で茶や米、かぼちゃが面積別で上位に入るというのは意外でした。


営農型太陽光発電設備の栽培作物に関するデータ 出典:望ましい営農型太陽光発電に関する検討会 事務局資料より

 さて、こうした新たなデータも踏まえつつ、検討会の議論では「持続可能性が高い営農型太陽光発電(仮称)」を検討していくための論点(素案)が以下の通り提示されています。前提や重視すべきポイントの中でも、食料安全保障の重要性から「将来にわたって食料生産の場としての機能が安定的に維持」されることを前提とし、また再エネ電源全般に求められている「地域との共生」や「地域への利益還元」が重視すべきものとして挙げられています。


検討会における議論の進め方 出典:望ましい営農型太陽光発電に関する検討会 事務局資料より

 検討会は、本稿執筆時点で第2回までが開催されています。今後は、7月上旬に開催される「ソーラーシェアリングサミット2025」など、これからの営農型太陽光発電について幅広く議論する機会が来月にかけて複数回あります。そうした場でのさまざまな関係者からの意見も踏まえながら、今後普及していくことが望ましい営農型太陽光発電とは何なのかについて、より一層の議論を深めていければと思います。

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