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国内の水力発電市場は微増 設備改修によるリパワリングが後押し:自然エネルギー
矢野経済研究所は2025年6月27日、国内の水力発電市場に関する調査結果を発表した。2030年度の水力発電の導入容量は、50.5GWに達すると予測している。
矢野経済研究所は2025年6月27日、国内の水力発電市場に関する調査結果を発表した。2030年度の水力発電の導入容量は、50.5GWに達すると予測している。
2024年度の国内における水力発電の導入容量は50.3GWを見込む。国内の水力発電開発は、大規模水力発電所はほとんど新規開発がないことから、導入容量が大きく増減している市場ではない。しかし、中規模・小規模の水力発電については、FIT制度を活用した新設または既存水力発電所の大規模な改修によって、導入容量は増加傾向にある。
また、国内の水力発電所は運転開始から60年以上経過したものも多く、老朽化に伴う発電効率の低下を補うために水力発電設備更新に伴うリパワリングが行われている。これにより、既存水力発電所の出力が向上している。
こうした背景から、国内における水力発電所の導入容量は大きく拡大しないものの、各事業者が既設の水力発電所の維持を行い、事業採算性が確保できる範囲で出力を維持し、わずかながらの増加があると予測。加えて、揚水発電所は揚水を行うことで電力消費を生み出し、再生可能エネルギーの需給調整の役割を持つことが可能であることから、今後さらに活用される見通しとしている。
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