無色透明な有機太陽電池を開発、見えない近赤外光で発電
大阪大学、東京大学、青山学院大学、artience(東京都中央区)らの共同研究グループは2026年8月、近赤外光を利用して発電する無色透明な有機太陽電池(OSC)の開発に成功したと発表した。
大阪大学、東京大学、青山学院大学、artience(東京都中央区)らの共同研究グループは2026年8月、近赤外光を利用して発電する無色透明な有機太陽電池(OSC)の開発に成功したと発表した。
OSCは柔軟かつ軽量という特性から適用範囲が広く、今後の普及が期待される太陽電池の一種だ。一方、従来のOSCは、可視光を吸収して発電することで着色しているように見えるため、採光性や意匠性が求められる場所への応用には課題があった。
研究グループはこれまで、有機半導体材料の構造と電子状態を精密に制御することで可視光をほとんど吸収せず、近赤外光を選択的に吸収する分子設計の指針を見出してきた。
今回はこの設計指針に基づき、強い分子内相互作用を誘起する新規ユニットを設計して分子内に組み込んだ。この薄膜は、近赤外光を効率よく吸収し、可視光は透過する特徴を持つ。同分子を発電層に組み込んだ太陽電池は、高い可視光透明性を保ちつつ、近赤外光領域で最大20%を超える外部量子効率(太陽電池に入射した光子の数に対して、外部回路に電流として取り出された電荷の数の割合)を達成したという。
今回の成果は、従来の太陽電池では設置の難しかった場所に、景観・視認性・採光性を損なうことなく発電機能を付与する技術につながる可能性がある。また、近赤外光の一部を吸収して発電に利用できるため、遮熱効果や空調に必要な電力消費の低減も期待されるとしている。
また今回の研究では、開発した無色透明な有機光電変換デバイスにより、近赤外光を用いた脈拍検出にも成功している。これにより、目立たず装着できるヘルスケア用ウェアラブル端末や、環境光で駆動する自己電力供給型センサーへの展開も期待されるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「発電する窓」をペロブスカイト太陽電池で実現、パナソニックが実証へ
パナソニックがガラス建材一体型のペロブスカイト太陽電池を開発。「発電する窓」としてさまざまな分野への展開を目指し、神奈川県藤沢市で実証に取り組む。
“球状”の太陽電池で自由自在、発電する窓や建材を実現
スフェラーパワー(北海道恵庭市)は「ENEX 2020」で球状太陽電池「スフェラー」を披露。1〜2mmの小さな球状の太陽電池で、窓などに設置できるシースルータイプの太陽電池や、柔軟性のあるテキスタイル型の太陽電池など、さまざまな用途に適用できるという。
タンデム型ペロブスカイトで29.2%の変換効率、トリナが世界記録を達成
中国のトリナ・ソーラーは2026年7月16日、同社が独自開発したペロブスカイトと結晶シリコンのタンデム型太陽電池モジュールにおいて907Wのピーク出力と29.2%の全面積モジュール変換効率を達成し、世界記録を更新したと発表した。
政府施設に導入するペロブスカイト太陽電池 2040年に100MW以上の新目標案
環境省が政府部門におけるペロブスカイト太陽電池の新たな導入目標案を公開。政府が保有する施設に対し、2040年度までに100MW以上を導入する方針だ。

