BSA、私的録音録画補償金見直し審議を「消費者不在」と批判
Appleなども加入するPCソフト権利者団体・BSAが、私的録音録画補償金制度を携帯プレーヤーなどにも拡大する動きを「消費者不在」と批判。DRMこそが解決策だと主張している。
世界的な大手ソフトメーカーで構成するBusinness Software Alliance(BSA)は6月29日、日本の私的録音録画補償金制度について、「内容までは知らない」とする消費者が約8割に上った、という調査結果を発表した。
現在、制度の対象を携帯デジタルプレーヤーなどにも拡大するかどうかで文化庁の文化審議会が検討を進めているが、BSAは拡大に反対の立場。調査結果をもとに「審議が『消費者不在』であることを浮き彫りとした」と批判している。
調査は日本能率協会総合研究所のWeb調査システムを使い、6月1〜3日にかけて20〜59歳の男女2150人から回答を得た。
私的録音録画補償金制度の内容について「良く知っている」は2.0%、「ある程度知っている」は15.1%。一方、「制度名だけは知っている」が19.4%、「まったく知らない」が63.4%となり、BSAは「全体の82.8%がが補償金制度の内容を知らないことが明らかになった」としている。
携帯デジタルプレーヤーへの課金拡大については「やめてほしい」が39.7%。これに対し「しかたがない」が19.8%、「どちらともいえない」が40.5%だった。
課金対象になった場合、携帯プレーヤーを「納得できないので購入しない」は19.8%、「納得できないが購入する」が32.0%だった。
私的録音録画補償金制度は、レコード会社が販売する音楽CDや、テレビ番組などをデジタル記録できるメディアやハードの価格に補償金を前もって上乗せしておき、著作権者に分配する制度。MDメディアや録画用DVD-Rなどに課金されている。
日本音楽著作権協会(JASRAC)などの権利者側は、普及が進む携帯プレーヤーに加え、PC用HDDなど汎用品まで課金対象に含めるべきと主張。電子機器メーカーの業界団体・電子情報技術産業協会(JEITA)らが反発している。
BSAは米Apple Computerや米Microsoftなどのソフトウェア世界大手のほか、米DellなどPCメーカーも参加するソフトウェア著作権保護団体。同制度の拡大には反対する立場を表明している。
BSAのロバート・ハリマンCEOは「日本で行われている補償金制度の見直し議論に、真の消費者と真の権利者が参加していないことを危惧している。今こそ権利者、メーカー、消費者が三位一体となって補償金制度に代わる新たな解決策を検討すべき」とコメント。その上で「日本でも本格的な音楽配信が近づいている。BSAはデジタル著作権管理技術(DRM)こそが補償金制度に代わる解決策だと考えている」とした。
6月30日には文化審議会の著作権分科会法制問題小委員会が開かれる。同制度見直しについての検討が焦点になると見られる。
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