多くの企業はパブリッククラウドのメリットを理解しているが、シングルテナント環境で運用したいと考えているのが実情だ。本稿では、仮想プライベートクラウドがそのニーズをどう満たすかについて説明する。
パブリッククラウドのメリットは依然として企業を魅了しており、ここ数年でパブリッククラウドの導入は著しく増えている。しかし、パブリッククラウドが主流となっている中で、企業がひき付けられている別の導入モデルがある。それは、仮想プライベートクラウドだ。
プライベートクラウドは、自社設備を使用してクラウドサービスのメリットを享受したい企業に人気のモデルだ。そう語るのは、Gartnerのバイスプレジデントでアナリストのニール・マクドナルド氏だ。仮想プライベートクラウドは、プライベートクラウドと同じようなアイデアである。ただし、企業がインフラを所有するのではなく、パブリッククラウドを利用して構築したプライベート環境を使用する点がプライベートクラウドと異なる。
「仮想プライベートクラウドは真のプライベートクラウドではない。だが、パブリックリソースは自社専用となる」(マクドナルド氏)
Amazon Web Services(AWS)、Google、Microsoftなどの大手クラウドプロバイダーは、パブリッククラウドの流行に乗って利益と市場での地位を手に入れている。また、仮想プライベートクラウドと仮想プライベートネットワークの選択肢を提供している。ただし、仮想プライベートクラウドの導入を決める前に、メリットとトレードオフ、オンプレミスのプライベートクラウドとの違いを理解することが重要だ。
仮想プライベートクラウドには、プライベートクラウドより隔離されているという性質がある。また、仮想プライベートクラウドを使用すると、パブリッククラウドを自社のデータセンターの拡張と位置付けることができる。
「アドレス空間を連続的にすることが可能で、トランザクションのワークロードは自社のデータセンター内にあるかのように感じられる。事実上、仮想プライベートクラウドはリモートデータセンターにあるワークロードにすぎない」とマクドナルド氏は言う。
企業は既存のネットワークとセキュリティツールを使用して仮想プライベートクラウドの導入を支援することができる。つまり、抜本的な変更を行うことなく、パブリッククラウドの幾つかのメリットを享受できるということだ。
Forrester Researchの主席アナリストで、Infrastructure as a Service(IaaS)のクラウドリードを務めるローレン・E・ネルソン氏によると、プライベートクラウドには上述以外に以下のメリットとユースケースがあるという。
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