情報セキュリティが世界情勢を揺るがすようになった今日、セキュリティ業界は方向性を見直す時期に来た。Facebookの最高セキュリティ責任者(CSO)が業界の問題点や多様性について語った。
米ラスベガスで開かれた情報セキュリティの国際イベント、Black Hat 2017は、今年で20年目を迎える。開幕基調講演に登場したFacebookの最高セキュリティ責任者(CSO)アレックス・ステイモス氏は、業界自身が、単なる技術的に優れた発見よりも、セキュリティ問題を引き起こす根本的な問題を考える方向へシフトするべきだとの考えを示した。同氏は、従来の防御セキュリティ対策を越えた領域まで、業界の見定める範囲を拡張するよう、参加者に語り掛けた。
ステイモス氏は、Black Hatが初めて開催された時期を振り返り、法律トラブルで講演者が逮捕され、セキュリティ問題について公に発言するために参加者が仕事をやめなければならなかった過去を振り返った。
「私たちのコミュニティーは常に、自分たちの仕事の現実的、経済的、社会的影響をできるかぎり予測しながら最善の行動を取ろうと努めてきた。最初の頃、そうした懸念はまるで相手にされなかった。だが、20年前から状況は徐々に変わっていった。特にこの1年、私たちの正当性は完全に実証された。多くの人々が、社会を支える安全なシステムの構築がいかに重要か、改めて認識したのだろう。かつて、多くの人々が見向きもせず、私たちが声を上げなければ注目してもらえなかった話題が、今やあらゆる新聞の1面に毎週取り上げられるようになった」
ハッキングを「才能ある無邪気な子供の領域」と見なした過去の文化は、もはやBlack Hat 2017に当てはまらないとステイモス氏は語る。同氏は、現代の情報セキュリティ業界が、自身の影響力を常に自覚し、最善の方向に使うべきだと話す。防御セキュリティの技術的側面を越えた領域に光を当てることも、その試みといえる。
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