ハリケーン直撃を受けた「ひとり情シス」、HCIでどう事業継続計画を構築したか必要なのは機能追加ではない(1/2 ページ)

ストレージ環境や本番環境を構築する場合は、災害からの復旧要件や災害の回避要件を設計目標に含めて、事業継続が確実にできるようにしよう。

2018年08月24日 09時00分 公開
[Jon ToigoTechTarget]
画像 災害に対する事業継続の備えを

 2018年の大西洋のハリケーンは早くから予測されていた。一部では「ここ70年で最も大変な周期の年」といわれており、18個の暴風雨に見舞われ、そのうち6つがアメリカに上陸し、3つか4つが大嵐のカテゴリーに分類されると予測している。科学者や気候学者は、これらの天気事象の数がますます増加し、その厳しさが増しているのは海洋温度が高くなっていることが原因だとしている。実際、大西洋における海流の温度は高くなってきている。

 これらの嵐は大西洋沿岸やメキシコ湾岸に沿った場所に拠点を構える企業や住宅所有者にとっては大きな懸念である。しかし、この地域の企業や人は、国の土地と人口の一部にすぎない。アメリカ中西部はハリケーンの脅威に直面することはほとんどないが、トルネードなどの気象関連の大災害は免れない。場所や脅威の種類にかかわらず、災害回避はあらゆる人にとって最大の関心事だ。

 オクラホマ州の地方銀行First Enterprise BankのIT担当者であるクリス・フッド氏は、2009年2月に悲惨なトルネードが発生して間もなく、この銀行で「一人きりのIT部門」の職務を任されるに至ったいきさつを思い出す。この歴史的に悲惨な災害では、史上最強のトルネードである「EF4」を含めて、7つの州を横切った15個のトルネードのうち6個がオクラホマ州を襲った。それ以来、フッド氏は災害への備えをまず一番に考えるようになったという。

 2009年当時、テープバックアップが同行の主要な災害復旧計画の中枢であった。この計画では、嵐またはその他の災害がこの銀行の本店に被害を与えた場合、次に大きな支店に業務を移管復旧するものであった。だが、実はこの銀行はシステム環境を仮想マシンに既に移していた。フッド氏は、災害回避を同行の災害時の事業継続計画で最も重視し、この仮想マシンを利用してさらに能動的な取り組みを実施したいと考えた。

冗長化による災害回避

 同行はVMwareハイパーバイザー技術を利用して同行のサーバを仮想化しているさなかであった。また、仮想ワークロードにiSCSI接続しているStarWind Software製ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を使用してソフトウェア定義型ストレージ(SDS)を導入するところであった。しかし、フッド氏はこのインフラを最新のものにして先端技術を活用したいと考えた。

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