「クラウドHPC」とは? AWS、Microsoft、Googleが競う新たなサービス主要ベンダーの動向と課題は?

高い処理能力を持ったリソースを、ユーザーが必要なときにだけ提供する「クラウドHPC」。主要クラウドベンダーが注力し始めたクラウドHPCのメリットと、普及における課題について説明する。

2019年11月07日 05時00分 公開
[Paul KorzeniowskiTechTarget]
画像

 クラウドベンダーは常に、市場でシェアを拡大する方法を模索している。こうした取り組みの一つが高性能計算(HPC:High Performance Computing)向けクラウドサービス(以下、クラウドHPC)の提供だ。

 ユーザー企業はクラウドHPCを使って、流体力学計算や財務分析シミュレーションなどの複雑な数値計算を実行できる。自社でHPCのインフラを保有しようとすると、データセンター機器やその管理に多額の投資を必要とする。これらの要求を満たすために必要な社内の処理能力や、従業員のスキルセットを備えている企業は多くない。

 Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleの主要クラウドベンダー各社は、企業向けのクラウドHPCを提供している。

クラウドHPCにより障壁が低くなるHPC市場

 コンサルティング会社Pund-ITのアナリスト、チャールズ・キング氏によると、HPC向けのアプリケーションは一般的に、複雑な数値計算を実行するために、特別に設計されたサーバを必要とし、多くのリソースを消費する。

 HPCの導入支援を手掛けるHyperion Researchでシニアリサーチバイスプレジデントを務めるスティーブ・コンウェイ氏は「クラウドHPCの登場によりHPC市場が拡大し、オンプレミスに必要なインフラを持たないユーザー企業もHPCを利用できるようになった」と述べる。クラウドHPCを利用することにより、データ分析や自動運転、精密医療、IoT(モノのインターネット)などの用途で、HPCアプリケーションを実行できるようになったとコンウェイ氏は説明する。

 すでにオンプレミスにHPCインフラを所有している企業も、その一部をクラウドに移行してメリットを得ることができる。コンサルティング会社Moor Insights&StrategyでHPCおよびディープラーニングのコンサルタントを務めるカール・フロイント氏は「パブリッククラウドでアプリケーションを開発して、オンプレミスのデータセンターでそのアプリケーションを実行することもできる」と言う。

 HPCのインフラを短期的に利用したいと考える企業は少なくない。例えば石油会社は半年に1回、掘削に最適な場所の探索のためにHPCのインフラが必要になることがある。クラウドを利用すれば、必要なときだけHPCのインフラを利用できる。

Microsoft、AWS、GoogleがクラウドHPCに注目

ITmedia マーケティング新着記事

news033.jpg

サッカー欧州CLを早朝に観戦するアジアのファンのためにハイネケンが仕掛けた意外過ぎるキャンペーンの中身
時差のためUEFAチャンピオンズリーグを早朝に視聴せざるを得ない韓国のサッカーファンの...

news041.jpg

楽天グループが「楽天市場」出店店舗向けに「楽天AI大学」を公開
2024年3月より提供している店舗運営支援ツール「RMS AIアシスタント β版」に加え、AIツ...

news070.jpg

中国発AIソーシャル工作のゾッとする実態をMicrosoftがレポート
Microsoftが中国を拠点とする影響力工作の増加についてのレポートを発表した。これは米国...