では、なぜ日本は子どもの人権が軽く扱われてきたのか。そのあたりを同年に発行された『児童を護る』(児童養護協会)のなかで、東京帝国大学教授の穂積重遠氏はこう分析をしている。
「親が自分の子供のことを始末するのだから、それにどうもあまり立入ることは宜しくあるまいといういふことで、この親権といふものに遠慮していたといふことが、少なくともこの児童虐待防止法といふものが今まで制定されたなかつた一つの理由ではなかったらうか。斯う思ふのであります。(中略)この時計は私の所有物であるといふののと同じやうな意味で、子供は親の所有物だといふやうな意味から、親の権利として親権といふものが認められるやるになつて来たに相違ないのであります。沿革上は確かにさうであります」(『児童を護る』児童養護協会 33ページ)
もうお分かりだろう。日本人にとって長く子どもは「親の所有物」だったのである。「所有物」だから平気で間引くこともできたし、売り飛ばすこともできた。「所有物」だから自分が生に絶望をしたときにちゅうちょなく道連れにできたのだ。
昭和14年(1939年)に発行された『児童愛護思想並児童保護施設普及に関する参考資料』(中央社会事業協会)のなかの、「親子心中に関する調査」によると、昭和2年(1927年)7月から昭和10年(1935年)6月までの8年間で親子心中は1735件、亡くなった子どもの数は2700人にものぼっている。1年で337.5人の子どもが親に殺されていたわけだ。
そう聞くと、「この時代は極貧世帯も多くて生きる希望がなかったんだ」という人もいるが、その指摘は必ずしもあてはまらない。親子心中の理由として「生活困窮」は460件とトップだが全体の26%に過ぎず、ほとんどは「家庭不和」(322件)、「精神異常」(298件)など現代社会とそれほど変わらぬ理由が並んでいる。
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