「4時間の壁」は技術や法令、環境への配慮など課題は多い。しかし、スピードアップの努力を怠ってはいけない。「1万円の壁」は実現しようと思えば簡単な話で、閑散期の空席が多い列車に対して、低価格の設定をすればいい。東海道新幹線にも「ぷらっとこだま」という低価格商品はあるし、JR東日本の「えきねっと」も航空券の早期割引に似た大幅な割引料金はある。
しかし、それだけがサービスアップではない。値下げしなくてもおカネを取れるところからきちんと取る努力をすべきだ。「1カ月前の壁」「JRの壁」は、正規料金で乗ってくれる見込み客を遠ざけている。
国際航空の歴史は1919年のパリ〜ロンドン便から始まる。日本で鉄道が開業してから47年後と歴史は浅いけれども、国際航空業界は、人類最初の輸送手段の一つである船舶の営業や法律を手本としている。国際航空は国境を越え、さまざまなトラブルを経験し、早くから世界標準のサービスを構築した。洗練されて当たり前だ。
一方、日本の鉄道は外国を見習ったとはいえ、小さな島国で日本人向けに営業し、しかも民意より国の意向を重んじてきた。両者はそもそも文化が違う。だからといって日本の鉄道が旧態依然のままでいいはずがない。国際航空が船舶から学んだように、鉄道も国際航空から学び、サービスレベルを高めていくべきだ。
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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