――パール色の12色を追加したわけですが、これを10色にして、90周年のときに新たにつくった30色全てを復活させることは考えませんでしたか?
花篤: 「創業100周年のときにクーピー100色をつくるぞー」となったときに、そのように考えていました。これまでになかった10色をつくるために、研究所のスタッフと何度も試作品をつくったところ、「お、これいいね!」と感じたモノが12色もあったんですよね。想定以上に質のいいモノができたので、「全て使いたいなあ」ということになって、先ほど申し上げた2色を落とすことになりました。
――他のクーピーと違って、パール色はキラキラしていますよね。
花篤: はい。貝殻の裏側って、キラキラしていますよね。パール色は、貝殻の裏側をイメージしていただくとよいかもしれません。この色を使って白い紙に描いてもキラキラした感じはなかなか伝わってこないのですが、黒い紙に描けば違う。他の色鉛筆で、このようなキラキラ感を出せる商品はほとんどないんですよね。
また、キラキラしている色が流行っていることもあって、「パール色にしよう」と決めたわけですが、クーピーでこの色はつくったことがありません。本当に、再現できるのか。こうした不安がありましたが、とりあえずつくってみることにしたんですよね。
新しい色を開発する場合、まずサンプルをつくらなければいけません。研究者と一緒に「これはどうかな?」「こっちのほうがいいかな」といった感じで、時間をじっくりかけて色味を確認していく。そして「これでいこう!」と決まれば、本格的なサンプルをつくる。そこで、描きやすさや強度などを確認しなければいけません。「パール色はキラキラしていて、とてもいい」という印象を受けても、既存の色と比べ品質が劣っていればいけませんので。
「品質に問題はなし」と判断すれば、次は工場でテストを行わなければいけません。サンプルの段階では手作りに頼っている部分が多いので、実際、工場で生産したときにはどうか。手作りのモノと同じような色を出すことができるのか、などを確認をしなければいけません。
で、どうだったのか。調整がものすごく難しかったんですよね。機械の圧力を何度変えても、黒いたまりができたりして。サンプルのときに「これでいこう!」と配合を決めても、工場の段階で不具合が生じることがよくありまして。その課題をどう解決したのかというと、機械の圧力を変えたり、冷やす温度を変えたり、何度も何度も調整を行って、商品を完成させることができました。
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