「消費税なんていらない」と語る社長にどう向き合う? “地雷”を避ける3つのポイントスピン経済の歩き方(3/7 ページ)

» 2025年07月16日 06時00分 公開
[窪田順生ITmedia]

データに関心を示さない人への対処法

 当たり前の話だが、医療・年金という社会保障や公共サービスは現役世代が負担しているので、1400万人減ったということは27年前に比べて現役世代の「負担」がすさまじく重くなる。国も異常に膨張した社会保障を維持するのがやっとなので、民間企業の成長を促す投資もできない。

 一方、日本以外の国はどんどん成長しているので世界的に賃金や物価が上昇していく。そんな中、30年間成長していない日本企業が存続するには、人件費をできる限り低く抑えるしかない。つまり、今の日本は人口減少を起点とした低成長・低賃金の固定化という問題がある。

「年齢3区分別人口割合の推移(1950〜2024年)」(出典:総務省)

 ただ、「消費税減税」を訴える人々は、このような人口や社会保障のデータには関心を示さない。「ま、人口減少の影響もゼロではないけれど、消費税増税に比べたら微々たるもんだ」という感じで大した問題ではない認識なのだ。

 となると、このような考えの人々と商談や提案をする際にやってはいけない「NG行動」は明らかだ。

 それは「少子高齢化の影響で市場が縮小している」とか「社会保障費増大で医療や介護をどうしていくか」などのデータに基づいた営業トークである。

 消費税減税を支持する人に人口動態や社会保障のデータを伝えてもあまりピンとこない。それどころか、政府が出すその手のデータはフェイクだと思っている人もいる。それよりも「1997年に消費税が増税されたときにこれだけ失業者が出ました」というような、「分かりやすい原因と結果」のシンプルなストーリーを伝えたほうが、はるかにササるはずだ。

 このように「分かりやすさ」にも関係しているのが、(2)の「コスト削減」や「コスパ」が大好きという思考パターンである。

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