そして(3)将来への投資より「目先の利益」については、詳しい説明は不要だろう。現在、日本の国と地方を合わせた政府債務残高は2023年度末時点で1442兆円にまで膨らんでいる。対GDP比では237%にも上る。
ちなみに米国は121%、英国は101%、ドイツは64%ということで、日本はG7の中で突出して悪いどころか、「世界最悪」のレベルだ。
先日、石破茂首相が国会で「日本の財政はギリシアより悪い」と発言して「首相のくせに、日本の信用を貶(おとし)めることを言うなんてけしからん」と攻撃されていたが、実はあれは石破首相なりに配慮したもの言いだ。
IMF(国際通貨基金)のデータを見ると、実はギリシアの対GDP比は日本よりかなり小さく、比較対象にはならない。客観的に見ると「レバノンより良くてスーダンより悪い」が正確だ。
ただ、消費税減税を支持する人はこうした話をしたがらない。参院選候補者の演説を聞くと、「将来世代の負担を考えろと言いますが、今を生きる日本人の生活を支えることが結果、将来世代の負担を軽くすることにつながるんです!」なんて訴えていた。
中には、こういう政府債務残高は「フェイク」だと主張している人や、世界的にはもはやブームも去って、異端視されている「MMT理論」を熱心に唱えている人もいる。もちろん、何を信じようともその人の自由だが、問題はこういう主張をしているのが「日本人だけ」ということである。いくら国内で「1400兆円の借金なんてデマだ! 財源は腐るほどある!」と叫んでも、国際社会が「その通り! いいね」などと賛同してくれる可能性は低いのだ。
このような状況を踏まえると、消費税減税を支持する人の「思考パターン」が見えてくる。
彼らは「このままでは国の借金がさらに膨れ上がる」という未来予想を否定して生きているので、中長期的な話、とりわけ困難が待ち受けているような話は好まないのだ。したがって、良好なビジネスパートナーになるには、そうした「思い」にも寄り添う必要がある。
具体的には、商談や提案の際に中長期的なメリットや将来への投資を強調しすぎず、すぐに得られる効果や短期的メリットを前面に出したほうがよいということだ。
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