コラム
なぜ、失業者ではなく休業者が新型コロナで激増したのか 2つの理由:今後のカギは「サスティナブルワーク」(1/5 ページ)
新型コロナで休業者が激増している。リーマンショック時と比較すると、その差は顕著だ。なぜ、失業者でなく休業者が激増したのか? 背景に2つの理由があると著者は解説する。
5月30日の日本経済新聞に「休業者、最多の600万人 統計にみる4月の経済異変」と題する記事が掲載されました。
この記事の根拠となっている総務省の労働力調査では、雇用されている人で「休業者」に該当するのは、仕事を持ちながら調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者と説明されています。つまり、休業者とは「雇用契約を維持したまま給料だけが支払われている状態の人」を指します。記事には以下のようにあります。
“緊急事態宣言が出た4月の労働市場で、「リーマン・ショック時には見られなかった現象」(高市早苗総務相)が起きた”
“リーマン危機後の休業者は09年1月に153万人に達したが、今回はそれをはるかにしのぐ”
確かに異変といえる状況だと思われるものの、いまひとつピンとこない人もいるかもしれません。しかし、実際の数字をグラフにしてみると、その異様さを一目で感じ取ることができます。
まず、以下はリーマンショック後の完全失業者数と休業者数のグラフです。リーマンショックが起きてから2年間の推移を見ると、完全失業者数のピークは2009年9月の363万人、休業者数のピークは10年3月の158万人です。月によって多少の波がありますが、完全失業者数については、緩やかに右肩上がりになっている傾向が見て取れます。一方、休業者数についてはほぼ横ばいです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「ブランク」や「ドロップアウト」は無意味ではない いま見直すべき、「採用の常識」とは?
就職や転職の際に、多くの企業が重視するのが、その人材が社会や企業の求める能力や規範に合致しているかどうかという点だ。そのため、規範から外れていたり、「ブランク」や「ドロップアウト」の経験があったりする人が生きづらさを感じることも少なくない。ビースタイルホールディングスの調査機関「しゅふJOB総研」の所長を務め、「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催する川上敬太郎氏は、こうした社会を「能力適合型社会」とし、一人一人の能力の方へ着目する「能力発見型社会」への移行を提唱する。「監視」や「名ばかり管理職」はもういらない 「ニューノーマルのテレワーク」に必要なものとは?
ニューノーマルの最たるものといえるテレワークだが、最近では社員の監視システムが登場するなど、旧来の「時間管理」の延長で運用する企業も少なくない。しかし、これでは新しい時代を企業が生き抜くことは難しいだろう。ようやく定着の兆しを見せるテレワークを「感染防止策」にとどめず成果に結び付けるには? 大関暁夫氏が解説する。20代の転職希望者が答える「妥協できない条件」 2位は年間休日数、1位は?
就職ナビサイトなどを運営する学情が、20代の転職者に関する調査結果を発表した。20代の転職希望者が「妥協できない」と答えた条件が明らかに。3位は「年収」、2位は「年間休日数」、1位は?オンライン面接で「一度も会わずに」新卒採用 USEN-NEXT HD人事部門がつかんだコツ
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業の新卒採用活動が停滞する中、USEN-NEXT HOLDINGSはいち早く全ての採用プロセスをオンライン化した。全面オンライン化で得た効果、直面した課題は。「脱ブラック」進むワタミ、コロナで大打撃ながらも従業員に“太っ腹”対応
新型コロナの影響が深刻だった居酒屋業界。そんな中、「脱ブラック」が進むワタミでは従業員に手厚い対応を見せた。黒字予想から一転、20年3月期は60億円超の赤字となりながらも矢継ぎ早に講じた対応は、どういったものだったのか?