コロナ禍で改革急ぐファミレス サイゼリヤとジョイフルの苦戦が長引きそうな理由:「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵(1/7 ページ)
コロナ禍を乗り切るためファミレス各社はさまざまな改革を打ち出している。サイゼリヤとジョイフルは苦しい状況が続きそうだ。その理由とは。
「近づけない、集めない」 時代を生き抜く、企業の知恵:
「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。
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新型コロナウイルスの感染拡大で、外食業界が甚大な影響を受けている。ファミレスも居酒屋ほどではないにしても、大幅な顧客減に苦しんでいる。
ファミレス各社の8月における既存店売上高(対前年同月比)は、すかいらーくグループ(ガスト、バーミヤン、ジョナサンなど)が73.2%、ロイヤルホストが81.2%、サイゼリヤが71.5%、ジョイフルが79.1%、セブン&アイ・フードシステムズ(デニーズ)が72.6%などとなっている。売り上げが2〜3割程度落ちており、採算を取るには厳しい状況だ。
日本フードサービス協会によれば、1〜8月のファミレスにおける全店売上高(対前年同月比)の推移は次の通りだ。
100.2%→102.0%→78.8%→40.9%→50.6%→73.5%→77.4%→75.1%。
つまり、1〜2月は前年を上回る好調なスタートだったが、コロナ禍で売り上げが激減。4月には、前年の4割程度にまで落ち込んだ。その後反転したものの、6月から75%前後で足踏みしている。夏の感染拡大第2波が影響しているが、今後、第3波や第4波が来る可能性も十分ある。従来のビジネスモデルでは持続していけないリスクが高まっている。
ファミレス各社は、外食から足が遠のいた顧客のうち2〜3割はもう戻らないと想定して、対策を練り始めている。
すかいらーくでは、ガストの店内にテークアウト需要の高い唐揚げ専門店を併設するダブルブランド店の実験を始めた。ロイヤルホストの親会社であるロイヤルホールディングス(HD)では、冷凍食品を開発して店内での販売を始めている。セブン&アイ・フードシステムズでは、デリバリーに特化した実験店を打ち出す。びっくりドンキーの運営会社は、非接触型に振り切った新業態を開発した。
具体的な店舗削減を打ち出す企業も出てきている。ロイヤルHDは21年12月までに約70店の不採算店舗を閉鎖すると発表した。ジョイフルはもっと大規模で、直営店の3割に相当する約200店もの閉店が決まっている。24時間営業も、各社で見直しが進んでいる。
具体的な各社の施策を見ていきたい。
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