リクルートキャリアは8月26日、こうした状況を重く見た個人情報保護委員会から、経営陣を含む全社的な意識改革などの措置を講じるよう勧告・指導を受けた。これに加え、一部の大学や学生からは「もうリクナビを使うべきではない」「使いたくない」という声も出ているという。
小林社長は「当社の信頼は失墜しており、事業の存続そのものが問われるレベルだ」と現状を認識しており、「ゼロからの再出発として、抜本的な見直しを行っていく」「一歩一歩、信頼回復に向けて動いていく」と語った。
具体的な再発防止策は、(1)全ての商品・サービスの開発工程を標準化し、学生の視点を考慮したチェック体制をフローに盛り込む、(2)プライバシーポリシーの改定手順を明文化する、(3)10月をめどに、リクナビが個人情報を活用する際に妥当性を検証する「プライバシー責任者」を設置する、(4)20年4月をめどにリクルートグループ各社の法務組織を統合し、法務機能を強化する――など。
20年1月をめどに新卒事業の経営体制を変更する計画もあり、同社は今後、経営陣の変更や事業移管なども視野に入れた改革を検討していく。小林社長は「(経営者は)誰が最善かということも含めて検討する。私が最善だと思っているわけではない」と述べ、退任する可能性を否定しなかった。
体制変更までの約4カ月間は現体制のまま、学生の要求に応じて情報提供の有無を明らかにしたり、提供した情報を開示したりといった活動を続けるという。役員報酬の返上などの処分は、将来的に行う可能性はあるというが、現時点では検討していないとしている。
小林社長は会見の終盤で他社の動向に触れ、「適切にデータを利活用して、産業を良くしようとしている企業は他にある。今回の一件で、他社のデータ活用に水を差すことがあれば申し訳ない」と重ねて謝罪。注目を集めるHR Tech分野の発展を阻害しかねない事態を招いたことを認め、「これからは、データの利活用をきちんとできる仕組みを作っていきたい」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR