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「誰でも使えるAI」で社会が変わる マイクロソフトが「AIの民主化」で実現する世界

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 日本は先進国の中でも労働生産性が低い国として知られている。社員1人当たりの生産性をいかに上げていくかは、多くの日本企業が抱える共通の課題だろう。

 課題解決の鍵を握るのがAI(人工知能)技術だ。製造現場での生産管理や、建設業界での施工管理など、さまざまな領域でAIを活用した業務効率化が進んでいる。しかし、AIを使って成果を出せている企業はあまり多くない。その壁を越えるにはどうすればいいのか。

 「AI導入に成功している企業は、単なる技術検証ではなく、実際にビジネスに即して使えるかどうかを考えてから取り組んでいる所が多いです。やりたいことが明確になっていれば、“PoC死”は避けられます」


日本マイクロソフトの大森彩子さん(クラウド&ソリューション事業本部 Azureアプリケーション開発 技術営業本部 Azure スペシャリスト)

 日本マイクロソフトの大森彩子さん(クラウド&ソリューション事業本部 Azureアプリケーション開発 技術営業本部 Azure スペシャリスト)は、こう指摘する。大森さんはエバンジェリストとして、クラウドサービス「Microsoft Azure」やさまざまなAIサービスの導入を支援してきた実績を持つ。

 「マイクロソフトの強みは、ビジネスでどう使われるかを想定したAIサービスを提供していることです。AIで人間の力をどうエンパワーするかという観点で研究活動やプロダクト開発を行っています」と大森さん。同社は「AIの民主化」を掲げ、誰もが使えるようなAI製品やサービスの開発を進めている。

 Azure上では、画像認識や音声認識など人間の知覚に相当する部分のAIサービスをAPIとして提供しており、自分で機械学習モデルを作成する際に利用できる「Azure Machine Learning」では、GUIでモデリングできるツール(Azure Machine Learning Designer)などを用意している。

 また、多くのビジネスパーソンにとって身近な存在である「Microsoft Office」にもAI機能が盛り込まれている。例えばPowerPointでは、スライド内の画像を自動認識してデザインテンプレートを提案する機能がある。

「AIの民主化」を掛け声で終わらせないために

 11月4日〜8日に、米フロリダ州オーランドで開催されたイベント「Microsoft Ignite」でも、多くのAIサービスのアップデートがあった。Web APIでAI機能を手軽に利用できるCognitive Servicesも、より現場で利用しやすくなるように、継続的にサービスを開発・提供している。

 例えば、ユーザーの行動情報を基に、より関連性の高いコンテンツやより良い順位付けを推定するエンジンを手軽に構築できる「Personalizer」が一般公開された。また、OCRにとどまらず、フォーマットのあるドキュメントや表から構造データを抽出できる「Form Recognizer」では、より正確になデータ抽出を行うためのフィードバック機能が搭載された。

 企業での利用が飛躍的に伸びているいくつかのCognitive Servicesでは、仮想ネットワーク経由でのアクセスがサポートされ、利便性とセキュリティが両立されたのもポイントだ。「Speech Service」(Speech-to-Text、Text-to-Speech)は、RNN(再帰型ニューラルネットワーク)エンジンを用いたことで、日本語機能が飛躍的に向上している。

 そして、文章を解析する「Text Analytics」による日本語のセンチメント(ネガポジ)分析の機能向上や、自然言語解析を行う「Language Understanding」(LUIS)における「Pre Build Entity」(利用シーンに合わせた用語集のプリセット)の日本語対応など、多くのAI関連機能が日々アップデートされている。自分でデータ解析をしたり、機械学習モデルを構築したりするための環境や、仮想マシンの提供を含め、日々絶え間なくAzureのAIが進化している。

 AIの民主化を掛け声で終わらせないため、こうしたアップデートを続けるマイクロソフト。これらのサービスを使うことで、企業や社会はどう変わっていくのか。AIの民主化の先に描く未来を聞いた。

創業100年の老舗がAIで変わった瞬間

 同社がAIの民主化で目指すのは、「データサイエンティストなど特別な技能を持った人に限らず、誰もがAIを使える世界」だ。大森さん自身も「もはや数え切れない」というように、同社のAIサービスは多岐にわたる。特にCognitive Servicesを利用すると、マイクロソフトが構築した学習モデルを即時に利用できるため、手軽にAIアプリを作成できる。

 実際に、創業100年以上の老舗がAzureやCognitive Services、機械学習サービスを駆使したデータ活用で劇的な変化を遂げた例もある。三重県伊勢市で食堂と土産物店を営む「ゑびや」だ。

 ゑびやの担当者はAI初心者だったが、パートナー企業と協力して来客数を予測するAIを独自開発した。Cognitive Servicesの画像分析サービスで店内カメラの映像を解析して、来店者の属性データを取得。POSデータなどさまざまなデータを組み合わせた独自のAIモデルを構築することができた。開発したモデルの予測的中率は「90%超」で、大幅な食品ロスの削減を実現できたという。

 驚くことに、当初ゑびやには機械学習どころかITに詳しい人もいなかった。「最初は機械学習もAIも分からない状態で、本人いわく“PCオンチ”だった」というが、ゑびやの担当者がマイクロソフトのセミナーに参加してAI開発を体験し、店舗への本実装につなげた。今では、ゑびやはSIer事業のスタートアップを設立し、他の飲食店へシステム提供しているほどだという。

 ゑびやの取り組みは、マイクロソフトが考えるAIの民主化を体現した事例の一つ。「これまではプロのデータサイエンティストにしか出せなかった成果物が、APIを使うことで他の人でも作れるようになってきているんです」と大森さん。「Azure上ではさまざまなAIサービスを提供しています。“既製品”のAIをAPIで利用するだけでは物足りない人は、いちからPythonのコードを書いてご自身でモデルを構築することもできますし、いろいろな技術レベルの方に使ってもらえると思います」と自信を見せる。

業務を変革するAI人材の育成

 日本におけるAIの裾野を広げるため、マイクロソフトはAI人材の育成にも取り組んでいる。無料のオンライン教材「Microsoft Learn」やトレーナー研修、認定資格などを提供しており、AIをビジネス戦略の軸に据えられるような人材の育成を目指している。今ではラーニング専門の部署も新設され、AI、クラウド、セキュリティなど幅広い分野を網羅したオンライン教材の数は700件を超えた。日本語対応も順次進めている。


無料のオンライン教材「Microsoft Learn」

 AIをうまく使いこなし、成果を出す確率を高めるには、技術への深い知識と実際に手を動かす経験が必要になってくる。エバンジェリストとして活動する大森さんは、「AI導入を検討している企業に対しては、実践的なデモや具体的な事例をご紹介し、導入メリットなどをご理解いただくことが非常に大事です。AIをうまく使うには適材適所で利用するコツ(勘所)も必要で、結果的にお客さまが当初想定していたものと違うサービスをご提案することもあります」と説明する。

 「AIをより効率的に利用することや、機械学習を用いて独自にモデルを構築することをお考えなら、そのベースとなる基礎的な内容は知っておくべきでしょう。数学や統計解析、プログラミングなどを総合的に学べる場があるといいのかなと思います。AIモデルを開発するためには学習データとマシンリソースが必要で、今は多くの企業がさまざまなデータを蓄積しており、クラウドをはじめとしてマシンリソースも安価に使えることが多いです。AIはトライ&エラーの繰り返しがつきものですが、ここ数年でだいぶそれを実行しやすい環境になったといえます」(大森さん)

AI普及のカギ握る「信頼性」

 そして、AIの民主化の対象はビジネスに限らない。同社は社会貢献にも積極的で、環境問題に取り組む人々にAIやクラウドサービスを提供する活動「AI for Earth」や、障害がある人のアクセシビリティを高めるアプリケーションの無料提供など、活動の幅は広い。最近ではテックスープ・ジャパンを通して、台風19号などで被災した非営利団体に、マイクロソフトの製品やサービスを無償提供した。

 視覚障害がある人の目の代わりになるiOSアプリ「Seeing AI」も、アクセシビリティに関する取り組みの一つ。ユーザーが周囲をスマートフォンのカメラで撮影すると、AIが画像を解析して周囲にあるものを音声で読み上げてくれる。まさに、人間の力をエンパワーする例だ。

 「ハンディキャップを抱える人を含めたさまざまなダイバーシティの実現や、私たちが暮らす地球のために、AIでできることはまだまだあるはずです」と大森さん。ただし、誰でも使えるAIを実現する上では、AIの信頼性を担保する努力が欠かせない。

 「AIって何だかよく分からなくて怖い」「アルゴリズムがブラックボックスで使いづらい」「自分のデータがどう使われているのか不透明だと心配だ」など不安の声が多いと、当然ながらAIは社会に浸透していかない。同社はこれらの声に応えるために、公平性や信頼性、説明責任、プライバシーとセキュリティなどを担保する倫理原則を掲げている

 購買情報や行動ログ、表情データなど多種多様なデータを預かる以上、プラットフォーマーはそれを適切に保護して管理しなければならない。ユーザーや企業が安心してAIを利用できる環境の構築に努めることで、AIの普及を後押しする考えだ。

 「私はソフトウェアやサービスの可能性をとことん信じています」と大森さん。「中国や米国など多くの国がAIに多額の投資をしており、既にその投資に見合う価値が出始めています。マイクロソフトにはさまざまなAIサービスがあるので、それらをうまく活用して皆さんが幸せになる世界をつくっていただきたいと思います」(大森さん)


提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2019年12月10日

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