厚労省、テレワークガイドラインを見直し 休日・深夜の連絡を抑制へ
テレワークガイドラインの見直しに向け、有識者が提言書をまとめ、厚労省に提出した。海外の事例を基に、時間外の業務連絡にルールを設けることなどを盛り込んでいる。
厚生労働省がテレワークガイドラインの全面的な見直しに着手する。有識者会議が12月23日に提言書をまとめ、厚労省に提出した。提言書には時間外の業務連絡に関するルールの明確化などを盛り込んだ。厚労省は提言書を基に、2020年度内に新たなガイドラインを作成。早ければ21年4月に公表する。従来のガイドラインは18年に策定されたもので、初の見直しとなる。
厚労省はコロナ禍をきっかけにテレワークが急速に広がったとして、ガイドラインの見直しに着手。従来のガイドラインは、労働時間の管理に主眼を置いており、それ以外の要素が明文化されていないことが課題だった。新ガイドラインの作成に向けた会議には、経済産業省や総務省、国土交通省なども参加し、8月から有識者と議論を重ねてきた。
提言書では、企業が電子決裁システムなどを採用し、押印の廃止やペーパーレス化を進めることが、テレワークを導入する上で重要だと指摘。新しいガイドラインにはテレワークの好事例を盛り込み、周知することが必要だとした。
具体的な方法としてはフランスの「つながらない権利」を事例に、深夜や休日など業務時間外の連絡についてルールを設けることを求めた。フランスでは労働者がこの権利を行使し、雇用主に対して「連絡しないでほしい時間帯」を指定できる。
ルール化に向けては、企業が始業と終業の時間を明示し、従業員がお互いに連絡しない時間を作ることや、時間外の業務連絡に対しては翌日の返信を認めることなどを例示。テレワークの特性を踏まえ、「長時間労働にならないよう仕事と生活の調和を図りながら、仕事と私生活の混在を前提とした仕組みを構築することが必要」とした。
提言書には労働者に対する健康チェックも盛り込んだ。企業がテレワーク中の社員のメンタルヘルス対策を行えるように、「留意すべき事項をチェックリストなど分かりやすい形で示す必要がある」とした。
その他、サテライトオフィスの活用やワーケーションの促進、派遣労働者もテレワークガイドラインの対象とすることを盛り込んだ。また、通勤手当を廃止し、テレワーク手当の支給や交通費を実費精算に切り替える企業が増えていることを受け、社会保険料の算定基礎について「取扱いを明確化するべき」などと明記した。
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