COCOA、修正版配布も課題残る 「Androidは1日1回アプリの再起動を」「iOSは最新の14に」
厚労省が接触確認アプリ「COCOA」の最新バージョンを配信。しかし、Android版では、正確に通知を受け取るためアプリを1日に1回程度再起動する必要があるなど、依然として課題は残っている。
接触があったのに通知が来ないなど、不具合が確認されている接触確認アプリ「COCOA」。厚生労働省は2月18日にiOS/Android向けに不具合を修正したアップデートを配信したが、依然として課題は残っている。Android版の場合、正確に通知を受け取るためには最新バージョンでもアプリを1日に1回程度再起動する必要があるとしている。
COCOAの最新バージョン(1.2.2)では、Android版で通知を受けられなかった問題を解消した他、iOS/Androidの両方でアプリの利用日数が初期化される問題について改善を図ったとしている。
厚労省は同日、不具合の解消のために行った動作検証の具体的な内容を発表した。不具合の速やかな解消に向け、内閣官房のIT総合戦略室と厚労省からなる調査チームも発足させた。
検証では、最新版のCOCOAをインストールしたAndroid端末13台とiOS端末10台を用意。さまざまな組み合わせで1mの距離で20分間近づけたままにした後、片方の端末で陽性登録し、もう一方の端末に通知が行われるかを確認した。
多くのケースでは問題なく通知できることを確認したが、Android端末13台を使って各端末の36時間後の状態も確かめたところ、7つのケースで通知が正しく行われないことが分かった。
通常、COCOAは米Googleと米Appleが提供するAPIと連携し、専用のサーバに登録された陽性者との接触に関する情報を、1日1回ダウンロードして接触の確認をしている。
この処理が定期的に行えないと、各端末内の接触情報との照合が出来ず、通知が正常に行えない恐れがある。通知が行われなかったケースでは、バックグラウンドで起動していたCOCOAがOSにより強制終了されてしまっていた。また、バックグラウンドで起動していてもダウンロードの定期的な実行ができていないケースも見つかった。
しかし、いずれのケースでもアプリを再起動することでこの処理を実行できたという。厚労省は「不具合が起きる端末や状況の切り分けはできていない」としており、接触情報を正確に受け取りたい場合は1日に1回程度、アプリを再起動するよう呼び掛けている。
一方iOSについては、Android端末が陽性登録をした場合にiOS 13.5で通知を受け取れない場合があることを確認した。厚労省は「iOS版のCOCOA利用者の約96%はiOS 14を使っている」としているため、影響範囲は小さいとみられる。「iOS 14にアップデートすることで対応してほしい」と厚労省は呼び掛けている。
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