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Chromium EdgeとWindows on ARMの最新情報を整理するWindowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2019年12月02日 06時01分 公開

 米Microsoftが2018年12月に同社Edgeブラウザのエンジンを従来の「EdgeHTML」から「Chromium(Blink)」ベースのものへと変更することを発表してから1年が経過しようとしている。夏には従来の「Canary」と「Dev」に加えてβ版の提供も開始され、対応プラットフォームも当初のWindows版とmacOS版に加え、新たにLinux版が加わろうとしている(この他にAndroid版とiOS版も)。

シェル化するChromium Edge

 そんなChromium Edgeだが、先日にはついに製品版の提供が2020年1月15日となることが予告された。11月中旬に米フロリダ州オーランドで開催されたIgniteカンファレンスで正式発表されたものだが、同日にはロゴデザインも従来の「e」を模したものから貝殻状の新デザインが発表されており、心機一転全力でアピールする意気込みを感じる。

 筆者が「貝殻(Shell)」と感じたのは、次世代の“Edge”が単なるWebブラウザではなく、PWA(Progressive Web Apps)を含むアプリの実行プラットフォームであり、従来のスタート画面やデスクトップ画面の代わりとして「Launcher」となるWindows 10Xのように、どちらかといえば「シェル(Shell)」の位置付けに近いからかもしれない。

 このリリーススケジュールでいけば、Windows 10の標準ブラウザとして従来のEdgeがChromium Edgeとなるのは、「20H1」こと「Window 10(バージョン2004)」ということになる。

 The Vergeのトム・ウォーレン氏によれば、この1月15日のリリースで当初ターゲットとなるのは、エンタープライズなど企業向けユーザーであり、一般ユーザーには2020年春の後半ごろの時期を目指していると、米Microsoftのユスフ・メディ氏のコメントを紹介している。

 Internet Explorerモードなど、互換性問題を解決する機能を多く含んだ新バージョンを広く企業ユーザーに試してもらい、実際にOS更新が始まる2020年後半から2021年にかけての時期に向けたテストを実施してほしいという意図があるのだろう。

Chromium Edge on Armが走り出す

 Windows 10は、Chromium Edgeが動作する主要プラットフォームではあるが、Windows 10が動作する3種類のプラットフォーム(x64、x86、Arm)を全て包含した話ではない。例えば11月7日から米国での販売がスタートしたArm(Snapdragon)ベースの「Surface Pro X」だが、先日デモ機で確認した際にはOSバージョンは「1903」であり、標準搭載されているブラウザももちろん従来のEdgeのままだった。

 つまり、Surface Pro Xを含むWindows on SnapdragonデバイスでChromium Edgeを試すには、従来であればx86エミュレーションのような仕組みが必要だったわけだが、11月13日(米国時間)になり「Chromium Edge on Arm」のCanary版の提供が開始されたことをMicrosoft Edge Devの公式アカウントがTwitterで報告しており、Dev版とβ版の提供も間もなく開始されるという。

現状のSurface Pro Xが標準搭載するOSバージョンは「1903」
ゆえに動作するブラウザも従来の“Edge”であり、アイコンはそのままだ

 これは非常に大きな進歩だ。Arm64のようなネイティブアプリの動作環境は、特に動作パフォーマンスを言い立てるChromium Edgeでは大きなアピールポイントになる。ただ、時期的には前述の1月15日というIntel/AMDプラットフォーム向け製品版のリリーススケジュールには間に合わないと思われ、現状で「20H1に乗るか微妙なライン」といったところだろう。現時点でMicrosoftはArm版のリリース計画について詳細を語っていないため、もうしばらく公式発表を待つしかない。

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